[原子力産業新聞] 2001年3月29日 第2081号 <1面>

[総合エネ調] 原子力安全・保安部会、安全研究のあり方を審議

人材・技術を基礎固め

総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会 (部会長・近藤駿介東京大学院教授) が28日、第3回目の会合を開き、安全研究の状況を聞いて今後の課題などを審議した。このなかで原子力安全・保安院から部会のこれまでの検討をまとめた形で「保全基礎と研究」についての今後の対応が提案され、広範な知識基盤を生みだす安全研究へのシフトや、人材、資金など限られた資源を効率的に活用するうえで国際共同研究の一層の推進といった広範かつ柔軟な開発の枠組み作りの重要性が示された。


ロードマップ作り対応

この日の会合では、研究機関から日本原子力研究所、また電力の安全研究の取組状況の説明を聞いた後、「安全基盤と研究」についての今後の課題と対応が事務局から提案された。産業技術としての定着を見る一方で、予算確保等に厳しい状況があることや廃棄物などの新たな研究課題に取り組むうえで、国際共同研究の枠組みで進めるなど、人材等資源の面で広範な協力体制を構築する必要性が打ち出されたほか、基盤強化に向けた人材・技術等のロードマップを作成し基盤固めを進めることや、リスクなど人文科学分野の新たな課題に対応するうえで大学や学協会などとの連携深めることなどが提案された。

これについて各委員からは、予算確保などの資源配分などをめぐり意見が交わされ、「研究予算のパイ自体が小さくなっている点が根源的な問題だ。原子力研究の重要性を明確にするべき」とした意見や「これまで原子力研究予算が減っている理由をもう少し具体的に明らかにしたらどうか」などの意見が出された。今後効率的に進めるうえで「競争原理の導入という表現を盛り込む必要がある」との意見もみられた。また広範な研究交流などの点で、「PSA (確立論的安全評価) は化学産業でもおおいに役立っており一生懸命取り組んでいる。原子力研究者との意見交換の場をもってもらいたい」と他産業との交流・連携を深めるべきとの意見がみられた。大学などとの連携についても「人材の育成という観点からも重要」などとして施設の共用や積極的な研究への参画を進める必要性が指摘された。

同部会は、4月下旬に次回の会合を開き、基盤確保の中心的な課題である人材問題を検討する。また6月をメドにまとめる部会報告の骨子案についても検討を行う予定にしている。


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