[原子力産業新聞] 2001年3月29日 第2081号 <3面>

[欧州会議] 輸送の安全性を保証

輸送委報告を承認

欧州原子力産業会議連合 (FORATOM) が14日付けで伝えたところによると、欧州議会はこのほど、「欧州連合 (EU) 域内における放射性物質輸送はよく規制されており安全」とする報告書を410対73の賛成多数で承認した。

この報告書は欧州議会の輸送委員会が提出していたもので、原案はフランス緑の党の反原子力議員であるM.ベギン女史がまとめた。同議員のオリジナルは放射性物質輸送の安全性に多くの疑問を投げかけていたが、今年の1月に同委員会の委員達が様々な修正を加えて安全性を保証する内容に変えており、同議員としてはこれに屈した形になったと伝えられている。最終的に承認された報告書の改定版について欧州委員会 (EC) のP.レミ貿易担当委員は、「放射性物質輸送の高い安全性を保証するために国際的にも個々の国レベルでも十分な対策が取られていることが確認された」と指摘。この報告書によって「欧州市民は十分な理解に基づいた見解を提供されるだろう」と付け加えた。

また、FORATOM のW −J.シュミットキュスター事務局長も、「放射性物質輸送に係わっている企業や作業興達は輸送において高い安全基準が維持されていることを欧州議会が正式に承認したことを喜ばしく受け止めるはず。各国の原子力安全当局もこの問題に関する長期間にわたった論争の最終結果に満足していることだろう」とコメントした。同氏は欧州議会の一部の議員がこの問題を原子力事業を攻撃する新たな機会としたことは不幸なことだったと指摘する一方、最終的に放射性物質輸送の実態が適切に評価されるに至ったことは幸いだったと強調。「欧州議会は反原発派による運動工作よりも確固たる証拠に基づいて票決を下した」との感想を表明している。


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