[原子力産業新聞] 2001年4月5日 第2082号 <2面> |
[インタビュ] カナダ原子力公社、ギャズビー部長に聞く余剰プル利用にむけ「2、3年で結果を出す」カナダ原子力公社 (AECL) は、米ロの解体核兵器から出た余剰プルトニウムを MOX 燃料として CANDU 炉で燃焼する試験的プロジェクトを進めている。同計画の責任者で、原子力学会春の年会で講演するため先月末来日した同公社のD.ギャズビー MOX プロジェクト部長に話を聞いた。 −プロジェクトのきっかけは 「もともと、1994年に全米科学アカデミーが提案し、96年のモスクワ原子力安全サミットでクレティェン首相が余剰プルトニウムを CANDU で MOX 利用することが可能か、まずカナダでのフィージビリティ調査や小規模試験の実施に合意したことに始まる」。 −計画の進捗状況について「6年間の可能性調査の結果、CANDU 炉1基で年間あたりプルトニウムを1.5トン燃焼することが可能で、炉心や制御系統なども変更する必要がないことが分かった。今年2月からチョークリバー研究所の研究炉 NRU で、初めて両国の余剰プルトニウムを用いて製造された MOX 燃料ピンの照射試験を開始したところ。2〜3年かけて試験結果を得る予定だ」。 −今後の展望は「MOX 燃料として利用することは、技術的には特に乗り越えるべきハードルはない。最も難しいことは、いかに政治的な理解を得られるかだ。もちろん、国際協力は欠かせない。今年のジェノバ・サミットでもこのプロジェクトの進捗状況が議題にあがるだろう。日本は CANDU に似た新型転換炉『ふげん』の優秀な運転実績をもっている。プロジェクトヘの協力の一環として『ふげん』からの燃料の照射後試験が今年の夏に予定されている。平和に貢献するこのプロジェクトに今後も日本からの協力を期待している」。 |