[原子力産業新聞] 2001年4月19日 第2084号 <2面>

[COP6] 再開会合へ向け、柔軟性措置めぐり議長から新提案

「共同実施」でも消極的

京都議定書の実施規則合意を目指し、今年7月にドイツのボンで再開される気候変動枠組み条約第6回締約国会議 (COP6) に向けた新しい議長提案が9日、J.プロンク議長 (オランダ環境相) から示された。

温暖化ガス排出削減のための環境改善技術として原子力を認めるかどうかが交渉の焦点のひとつとなる COP6 再開会合を前に出された今回の議長提案には、東部メカニズムのうち共同実施 (JI) の適用にあたっても「排出削減のために原子力施設を利用しない」との内容が追加された。

JI は、ある先進国が別の先進国内で共同で温室効果ガス削減事業を行い、それにより生じた削減分を排出割当量に移転することができる制度。我が国は「クリーン開発メカニズム (CDM)」とともに環境技術改善の国際的移転を認める措置として重要視してきただけに、JI の認定技術としても原子力を対象から外そうとする動きに対して、国内で反対の声が高まりそうだ。

昨年11月の COP6 では、京都議定書の運用規則をめぐる交渉で欧州や日米を中心とするグループの間で、森林による吸収 (シンク) や遵守できない場合の罰則、柔軟性措置をめぐって主張の違いが際立った。そうした中で、CDM の適用技術として原子力発電を認めるかどうかでもぎりぎりの交渉が続いたが、閉会前日にプロンク議長が示した調停案では結局、 CDM の取扱いに関する項目に日本側の主張した原子力技術が含められなかった。

CDM のみならず JI 対象技術から原子力を除外するなど、9日に出されたプロンク議長案は温暖化対策としての原子力の有効性を考えた場合、前回よりさらに後退してしまった内容になったと言える。COP6 再開会合では、新議長提案をたたき台として、交渉が進められることになる。新政権のもとで京都議定書からの離脱を表明した米国がどのような態度に出るかも不明確だ。原子力の立場はさらに苦しくなりそうだが、日本政府代表団にはできるかぎり交渉に力を注ぐことが求められる。

一方、昨年の COP6 でも原子力の有用性を訴えて活動を展開した日米欧の原子力関連団体で構成する「国際原子力フォーラム」は、今回のブロンク議長提案の内容を重く受け止め、来月にも COP6 再開会合に向けた対応を協議する予定だという。あらゆる機会を捉え、今後も引き続き積極的な働きかけを行っていく方針だ。


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