[原子力産業新聞] 2001年4月26日 第2085号 <6面>

[文部科学大臣賞] 田中俊一氏に功績者賞

放射線遮蔽計算法で業績

文部科学省はこのほど、2001年度の科学技術功労者、研究功労者ならびに科学技術普及啓発功績者の対象者91名を発表した。

そのうち原子力研究関連では、田中俊一日本原子力研究所東海研究所副所長が研究功績者に選ばれた。ガンマ線および中性子の遮蔽計算法に関する研究で顕著な業績をあげたことが受賞理由。

原子力施設の合理的な安全確保のためには、高い精度で放射線影響を評価する遮蔽計算法の確立が重要とされている。田中氏は、研究を通じて従来の遮蔽計算では特性エックス線や電磁カスケード過程に伴う制動放射線が考慮できず高精度の遮蔽計算を行ううえで大きな問題となっていた点を克服し、これらの放射線の生成過程を定式化し、独自の EELOSS コードを開発。従来用いられてきた PALLAS コードと結合させて改良された PALLAS コードを開発した。加えて、このコードを用いて高精度な簡易遮蔽計算コード QAD-CGGP2 などの開発に成功した。

こうした研究成果は、電磁力スケード過程や特性エックス線生成過程を組み込んだ放射線輸送計算コードとして国際的にも高い評価を受けており、開発された2つのコードは国際標準コードのひとつとして採用されている。今後、原子炉施設などだけでなく、医療・工業分野での加速器や RI 取扱施設などでの機器の遮蔽設計に幅広く利用され、安全の確保に貢献するものと期待されている。


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