[原子力産業新聞] 2001年5月10日 第2086号 <1面>

[サイクル機構] BNFLと先進リサイクル・高速炉分野などで技術協力を取決め

相互評価も視野

核燃料サイクル開発機構と英国原子燃料会社 (BNFL) は4月23日、先進核燃料サイクルや高速炉などの技術分野での協力取決めを締結した。取決めによると、協力の期間は5年間で、(1) 高速炉燃料サイクル技術を含む先進核燃料サイクル技術 (2) 高速炉技術 (3) 放射性廃棄物管理技術−の各分野を対象として、情報交換や人材交流、共同研究などを通じて協力を行うことを定めている。

サイクル機構は旧動燃事業団時代の1995年に BNFL と文書を交わして、これまで協力の可能性について何度か検討してきた。99年に BNFL が協定案を提案したことを踏まえ、両者が協力の可能な分野や方法を協議した結果、今回の正式締結に至ったもの。サイクル機構は、BNFL が FBR サイクルなど先進リサイクル分野、燃料設計分野などで蓄積してきた研究開発能力に注目。BNFL との間で研究交流を行うことでサイクル機構の主要な研究領域である先進リサイクル技術の研究が加速するものとの判断から、協力関係を築くことを決めた。共同研究を実施する課題は、現在協議中の詳細な実施取決めの中で具体化されるが、次のような内容を中心に検討が行われているという。

(1) 燃料サイクル戦略=サイクル機構が継続して行っている FBR 実用化戦略調査研究と BNFL による「ホリスティック燃料サイクル」概念の研究成果や将来計画での情報交換、相互評価

(2) 先進湿式プロセス分野=遠心抽出器を利用した基礎的プロセスや試験データの情報交換

(3) 乾式再処理=構造材の長寿命化や機器等での情報交換

(4) 燃料設計データベース=高速炉燃料の物性データ取得に関して、燃料設計等へ反映するための物性データベースの整備

このほか、中低レベル廃棄物の効果的な処理についても情報交換の可能性を検討しているという。

個別の共同研究項目以外に相互の情報交換を重視した内容となっているほか、BNFL が建設中のテクノロジーセンターの活用も考慮した人材交流も考えられている。

現在、サイクル機構では英国の AEA テクノロジー社との間で高速増殖炉や先進的技術の研究開発の協力を進めているほか、ドイツのカールスルーエ研究所ならびにフランス原子力庁との間でも高速増殖炉技術の協力取決めを結んでいる。


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