[原子力産業新聞] 2001年5月10日 第2086号 <2面>

[インタビュー] NEI、ハワード副理事長に聞く

新政権のエネ政策に期待

米国では電力業界の再編の結果、原子力発電を経済的な資産として見直されてきている一方、カリフォルニア電力危機は自由化の進展に一石を投じる結果となった。ブッシュ政権は新しいエネルギー政策についての検討を進めている。こうした点について、原産年次大会に参加するため来日した米原子力エネルギー (NEI) のA.ハワード上級副理事長に話を聞いた。

−エネルギーをとりまく全般的な動きについて。

ハワード氏 カリフォルニアでの停電以来、政府や国民も自由化と電力供給をめぐる問題の重要さを一層認識している。一方、自由化が順調に進展している州もあることも事実だ。エネルギーといえば、現在議会や政府が広範なエネルギー政策に関する法案を準備しているところだ。早ければ今年議会を通過するもようだが、それではオフショアの石油やガス開発を盛り込んでいるほか、パイプラインや新規発電所の建設、原子力エネルギー利用の奨励もうたわれている。一方、ドメニチ上院議員提案の法案には全般的に原子力を推進させる内容が盛り込まれている。

−チェイニー副大統領のエネルギータスクグループはどのような考えか。

ハワード氏 5月中旬には副大統領レポートがまとまる見通しだ。この内容がエネルギー法案にも反映されることになる。公表されているわけではないが、チェイニー副大統領は原子力の必要性も盛り込まれるべきだという意見を述べてきている。ただし共和党政権は自由市場の論理を後押ししている点は十分に認識しておく必要がある。

−電力会社の最近の具体的な動向について。

ハワード氏 過去数年間、設備利用率の向上などへの努力を続けた結果、電力会社に対する金融機関の評価が好転してきている。電力需要の伸びを背景に電力会社がベースロードの発電所建設に対する認識が高まっている。また、NRC からの新規の発電所建設への認可取得への準備を始める動きも見られる。エクセロン社がペブルベッド・モデュール型炉の発電所を7基建設する意向を示しているが、まだ正式な申請ではない。同社以外にも具体的な計画はあるようだが、正式発表には至っていない。今後、原子力に関連してどのような法律が制定されるかにも影響されるだろう。


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