[原子力産業新聞] 2001年5月17日 第2087号 <1面> |
[サイクル機構] FBRサイクル、有望な候補概念を抽出炉・燃料システム両面から核燃料サイクル開発機構は11日、1999年7月から実施してきた FBR サイクル実用化戦略調査研究の第一段階で得られた研究成果の概要を公表した。 同研究は、高い安全性や軽水炉システムと遜色ない経済性の達成を前提に、FBR サイクルを将来の主要なエネルギー供給源として確立するための技術体系整備をねらいとして、電気事業者等の参加を得てオール・ジャパン体制のもとで行われてきた。 その第一段階 (フェーズI) では、幅広い技術選択肢の調査・評価を行った上で将来社会の多様なニーズに柔軟に対応できる有望な FBR サイクルの実用化候補概念を抽出するとともに、今年4月からのフェーズIIの研究計画を策定することもあわせて実施。フェーズIの研究成果が3月末に取りまとめられたことから、今回同機構がその概要を明らかにしたもの。 将来の社会展望やエネルギー資源の需給動向、環境負荷低減などの検討を基に、国内外の研究開発の蓄積を活用し、幅広い技術的選択肢の調査・評価を行い、FBR システムと燃料サイクルシステム (再処理システムと燃料製造システム) の概念検討を通じて、有望な実用化候補概念を抽出した。 そのうち、各種の冷却材や燃料形態を組み合わせた FBR システムについては、大型・中型炉として、(1) アドバンストループ型炉で MOX 燃料と金属燃料を用いたナトリウム冷却の大型・中型モジュール炉概念 (2) 鉛-ビスマス冷却で窒化物および金属燃料を用いた中型炉概念 (3) MOX および窒化物燃料を用いたガス炉概念 (4) 超臨界圧軽水冷却等の大型炉概念−など、開発目標達成の可能性のあるシステムを提示した。また、多目的利用を念頭においた小型炉システムについては、金属および窒化物燃料を使ったナトリウム冷却炉概念ならびに鉛-ビスマス冷却炉に2つの概念を抽出した。 一方、燃料サイクルシステムに関しては、 (1) MOX 燃料や窒化物燃料を対象とした先進湿式法再処理と、簡素化ペレット法や振動充填法による燃料製造の組み合わせ (2) 乾式法再処理 (窒化物燃料を除く酸化物電解法、金属電解法) と振動充填法による燃料製造の組み合わせ (3) 金属燃料を対象にした金属電解法乾式再処理と鋳造法燃料製造−などを有望な技術候補として選び出した。 加えて、フェーズIIの戦略調査研究計画を策定。フェーズIで抽出された有望な候補概念について、さらに独創性に富んだ革新的技術を取り込みながら、5年程度で比較評価が可能なように設計研究を進め、要素技術試験による裏づけとなる根拠を固めることを実施したうえで、我が国独自の FBR 概念を目指し、最終的に2〜3の実用化候補概念に絞り込めるようにしていく。 フェーズIにおける研究成果は今後、課題評価委員会の場で検討され、最終報告書としてとりまとめられる予定だ。 |