[原子力産業新聞] 2001年5月31日 第2089号 <3面>

[インタビュー] ロシア原子力相ルミャンツェフ氏

「再処理事業は有益」

欧州原子力学会 (ENS) が運営する原子力情報ネットワークであるニューク・ネットはこのほど、ロシアの3月の改造内閣人事で新たに原子力省 (MINATOM) の大臣に就任したA.ルミャンツェフ氏にインタビューし、ロシアの今後の原子力政策に関して、特に国外の使用済み燃料の再処理に焦点を絞って同相の抱負と展望を聞いた。

−原子力相としての主な目標は何か?また、前任者とはどのように異なるアプローチをする予定か?

原子力相 原子力産業が国家から課せられている主な責任事項は大別して3つあり、1つは国の軍事核コンビナートヘの供給。あとは原子力発電所の安全性確保と原子力研究開発だ。現在の原子力開発には良い方向に動いている分野がいくつかあり、原子力による発電量の大幅な増加もその1つ。国際プロジェクトによる外貨の獲得高も増えているほか、原子力産業に係わる社会的なプログラムの分野でも展望は明るい。このような状況下では、これまでの実績を統合するとともに、それらをさらに改善していくことが主な仕事になる。その関係で私としては原子力産業を一層一般に公開していくため、あらゆる努力をする必要があると考えている。

−ロシア議会は国外からの使用済み燃料受入れと再処理を可能にする法案について近々票決を行うようだが、こうした措置はロシアの原子力産業と国家経済のさらなる発展にどれほどの重要性を持つのか?

原子力相 法案は下院の第二読会を通過し、第三読会での審議に移っている。上院への提出と大統領の承認はその後になる。私としては、これらの法案が成立すればロシア社会の様々な問題、特に環境面での問題が解決の方向に向いていくと信じている。使用済み燃料は価値ある資源であり、再処理は非常に大きな利益を生む事業だが、それ以上に、原子力省および国全体の利益促進に役立つなど社会的にも価値の高いプロジェクトと言える。我々の決定は21世紀のロシアにエネルギーを供給するとともに、軍事活動で汚染された土地の復旧など環境問題の解決にも係わるという点で、追加で財源投資する対象とするのは重要なことだ。

−原子力の拡大によってガスの利用を減らそうという原子力省の計画はどの程度現実的なものか?

原子力相 ほかに方法はない。バレンツ海のガス資源探査には巨額の投資が必要だし、それらをすべて燃やしてしまうわけにもいかない。ロシアでは原子力発電は代替エネルギーという位置づけだし、2005年までに原子力発電所が発電する年間1700億kW 時という電力は500億立方メートル以上のガス節約に繋がるはずだ。

−イランのブシェール原子力発電所建設計画にロシアが係わっていることについて米国との摩擦があるようだが、計画の続行にあたって米国にはどのような説明をするつもりか?

原子力相 摩擦は確かにあるが、我々はこの計画がいかなる国際条約にも抵触しないことを再三にわたって米国に証明してきた。今後の交渉でこの問題が丸く納まるよう希望している。

−イランもしくはその他の国と新たな原子力施設の建設でさらなる契約の締結を計画しているか?

原子力相 イランとは新規の原子炉を建設する可能性について協議したことがあるし、その他にも我々が供給可能な施設に関心を示す国々とはこれまでと同様、協議していくことになる。ほかの先端技術と同じように原子力技術も世界規模の市場に移行すべきなのであり、これはまた、核不拡散条約にも則したことだと考えている。

−旧西側諸国は、いくつかのロシア製原子炉の安全性に未だに危惧を抱いているが、これにはどう対処していくべきか?また、財源についてはどうか?

原子力相 ロシア製原子炉の安全性、とりわけ旧ソ連諸国にある原子炉の安全性については長い間、政治的な取り引きの対象にされてきた。ロシアでは原子炉の安全性改善に首尾一貫した方針を貫いており、最近の例としては RBMK 用の新たな燃料および安全システムを開発したほか、ノボボロネジ3号機の運転寿命をさらに10年間延長できるよう、一旦停止して設備を近代化する。クルスク発電所でも多重の安全評価を行うが、これらの活動資金は原子力省の電力販売や輸出による収入で賄われるだろう。


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