[原子力産業新聞] 2001年5月31日 第2089号 <4面> |
[原研] プラズマ磁気の乱れを抑制ITER 方式に見通し日本原子力研究所は24日、臨界プラズマ試験装置である JT-60 を利用して、国際熱核融合実験炉 (ITER) で計画されている高周波入射方式を採用して、プラズマの中で起きる磁気の乱れを抑制する方法を実証することに成功したと明らかにした。 コンパクトで高出力の核融合炉を実現するためには、温度と密度による高いプラズマ圧力を達成し、なおかつ連続して維持することが不可欠となる。プラズマの圧力が高くなるに伴い、プラズマ中の狭い領域で磁力線の乱れが生じることにより、プラズマの圧力が低下する可能性があることが認められていた。 ITER 計画では、磁気の乱れの発生領域にプラズマ電子の共鳴周波数を持つ高周波をアンテナから入射、プラズマの電子を加速して、プラズマの中に集中的に電流を発生させることで、磁気の乱れを抑えるという方式の採用が計画されている。システムに組み込まれたアンテナの方向性を変えることで高周波の入射方向を変えていく。 これまで、高周波入射方式による実験でのデータがなかったが、原研の JT-60 では、ITER と同様の高周波入射方式を採用して、狙った領域に高周波を高い精度で入射するための可動アンテナを取り入れたシステムを開発してきた。このほど、開発された高周波入射システムを使って、JT-60 の高性能プラズマで発生する磁気の乱れを抑制する実験に成功したもの。 原研では今回、世界で初めて ITER と同じ高周波入射方式での実験の成果が得られたことで、将来の ITER 計画においても磁気的な乱れを十分に抑制できる見通しを得たとしている。 |