[原子力産業新聞] 2001年5月31日 第2089号 <4面>

[ベトナム展示会] 好評博した原子力展示会

日本から出品協力、理解促進に貢献

日本原子力産業会議はベトナム原子力委員会と1999年に覚書を結んで以来、日越協力連絡委員会 (委員長・金井務原産副会長) のもと、活発な人事交流を実施しているが、日越共同行事として初めて、4月25日から29日までハノイで「原子力平和利用展示会」を開催した。展示会は同原子力委員会が創立25周年を記念して、ベトナムの政府、共産党関係者ならびに一般国民に原子力を理解してもらおうと主催したもの。展示は放射線・アイソトープの利用から発電までを幅広くカバーし、600平方メートルの会場にパネル、模型、VTR、パソコンなどを用いて説明が行われた。

日本側は後援機関として参加したが、日越双方で準備組織 (タスクチーム) を設けて、内容の相談や展示品の製作などを分担し、実質的に日越の共同事業となった。原産日越協力連絡委員会のなかにメーカー、電力、研究機関の専門家からなるタスクチームを設置し協力した。日本からは、原子力発電プラントや燃料の模型、放射線の測定器、放射線応用製品の見本などの貸出しと VTR、説明資料を提供した。

展示会開会式、記者会見、同時開催されたセミナーなど、いずれも予想を大きく上回る盛況さであった。入場者は5日間で約6000人となり、いずれの行事でも参加者から多くの熱心な質問があり、原子力への関心の高さが伺われた。

同じ建物内で開かれたセミナーにはベトナム人の専門家とともに、原産代表団の関係者らが講師をつとめた。展示会の様子は新聞、テレビなどで大きくとりあげられ、政府、共産党の指導者の目にとまるところとなった。

開会式には、ベトナムの科学技術環境省のフェイ副大臣をはじめ各省の関係者、国会や共産党の代表らが来賓として出席。日本側からは金井団長のほか、山崎隆一郎日本大使、遠藤哲也原子力委員長代理、殿塚猷一電気事業連合会専務理事、東芝、三菱重工、日立の関係者らが参加した。

展示会には、科学技術環境省のニャー大臣、工業省のハイ副大臣、共産党の幹部、国会議員団が視察したほか、政府、大学、研究所の関係者ほか、連日、朝からハノイ市内の学生等が来場し、熱心に見学した。

ベトナムでは、本年4月の共産党大会で採択された今後10か年の社会経済発展戦略の中で、原子力発電が初めて公式に位置付けられた。また同展示会のあと、首相をはじめ政府首脳に対して、原子力についてこれまでの検討内容の報告がなされ、いよいよ次の段階に入る節目を迎えている。


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