[原子力産業新聞] 2001年6月21日 第2092号 <4面>

[三菱重工] 韓国へ原子力用ポンプ技術を供与

現代重工業と提携

三菱重工業は14日、韓国の現代重工業に原子力発電設備用ポンプの技術を供与する技術提携契約を締結したと発表した。同社が韓国に原子力発電設備用機器の技術を供与するのは初めて。

今回の提携契約は、韓国で新設される原子力発電設備受注に狙いを定めたもので、契約期間は10年。韓国ではこれまでに、12基の PWR を建設、運転中であり、今後も PWR を使う新古里発電所1〜4号機、新月城1〜2号機など新設の原子力発電所建設計画が具体化してきている。

原子力発電設備に用いられる各種ポンプは安全運転の一翼を担う重要な機器で、製作にあたっては高度な技術が要求される。現代重工業は、PWR メーカーである三菱重工の豊富な実績と技術力を高く評価、技術供与を求めたのに対し、三菱重工側は現代重工業が製造能力と営業力を兼ね備えた韓国トップ企業の1つであることを評価し、今回の契約締結に至った。契約には技術指導を行うことも含まれている。

今回供与するのは、補助給水ポンプのほか原子炉補機冷却水ポンプ、使用済み燃料ピットポンプ、空調用冷水ポンプ、原子炉補機冷却水給水ポンプ、格納容器サンプポンプ、ほう酸ポンプ。このうち補助給水ポンプは二次系で使われるほか、原子炉補機冷却水ポンプ、空調用冷水ポンプ、原子炉補機冷却水給水ポンプは冷却水用。出力100万kW 級の設備では合わせて20個のポンプが用いられる予定となっている。

三菱重工の原子力関連ポンプにおける海外実績は、中国・秦山原子力発電所向けに1986年に補助給水ポンプ、87年に主給水ポンプ、98年に充填ポンプ、99年に一次冷却材ポンプを納入している。

この他の主要機器では、95年にベルギーに PWR 用蒸気発生器 (SG) を3基、今年2月にも SG を3基納入。中国・秦山原子力発電所向けに原子炉容器を86年と99年に各1基納入するなど、海外に向けて原子力発電設備機器の納入実績を積み重ねている。


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