[原子力産業新聞] 2001年6月21日 第2092号 <4面>

[コジェマ] 輸送と貯蔵テーマにセミナー

ロジ事業をピーアール

仏核燃料公社 (COGEMA) は5月22日と23日の両日、核物質の輸送と貯蔵をテーマとしたセミナーを東京と大阪でそれぞれ開催した。電力やメーカー関係者ら、約100人が参加した。

COGEMA は、1年前にA.ローベルジョン会長が社内に11の事業部体制を導入。そのうちの1つで、核物質等の輸送と貯蔵を担当するロジスティック事業部は、この分野では世界でも有数の技術力を持つとされている。

今回のセミナーは、ロジスティック事業部の主要な事業内容と "ビジネス・エクセランス" と称する総合的品質管理システムに基づく事業展開を紹介し、特定の顧客からのニーズヘの対応策を提示することをねらいとして開かれたもの。ロジスティック事業部の責任者であるY.クレルマン部長ら関係者6名が来日、プレゼンテーションや意見交換を図った。

冒頭、クレルマン氏が挨拶し、フランスの原子力産業の再編成を紹介するとともに、今回の主題となった輸送・貯蔵部門の柱となるロジスティック部門の役割について述べたのに続いて、フランス側から輸送や貯蔵に関する詳細なプレゼンテーションが行われた。

まず、使用済み燃料の中間貯蔵を取り上げた発表がなされた。その中で、我が国では99年の法改正により、2010年の操業開始を目指して、使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設に向け制度的環境が整備されたことを踏まえ、昨年末むつ市が中間貯蔵施設の立地誘致の名乗りをあげたこととならんで、電力会社の中間貯蔵計画も具体化が見られると言及。2010年頃には、中間貯蔵事業向けに数百のキャスクまたは保管システムの使用など、多くの需要が生じる可能性があることを指摘したうえで、同社ロジスティック事業部は、TN24 の金属製貯蔵キャスクやコンクリートモジュール製 NUHOMS の貯蔵システムを提案、ピーアールを展開した。

続いて、核物質の海上輸送をめぐって発表が行われた。COGEMA 側からは、通常の海運業者は、パブリック・アクセプタンスの問題を理由に核物質の輸送を嫌がる傾向にあることを挙げたうえで、安全性や信頼性などの観点から核物質輸送の専用船舶を利用することが必要だと提案。長年の経験とノウハウを有するロジスティック事業本部の柱である Transnuleaire 社が提供するビジネス・メリットを訴えた。

このほか、COGEMA 側では、フロントエンドでの輸送について欧米と日本間の特に濃縮ウランの輸送のニーズも高いとして、厳しさを増している安全規制要件を満足する次世代型キャスクの概念設計や製造、さらにマルチモデル輸送編成計画を一括方法で提供できる点もアピールした。

COGEMA が特定のテーマでこうしたセミナーを開くのは、今回が2回目。関係者は、セミナーが好評だったため将来も定期的に開催できればと語っている。


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