[原子力産業新聞] 2001年6月28日 第2093号 <3面>

[米国] 環境庁、ユッカマウンテンの放射線防護基準を公表

2つの基準に産業界、反発

米国の環境保護庁 (EPA) は6日、ユッカマウンテンの高レベル放射性廃棄物処分場に採用する放射線防護基準を公表した。

処分場の最も近い場所に住む市民の健康が守られるよう考慮したという同基準では、すべての経路からの被曝線量が年間15ミリレム (0.15mSv) を超えないことを定めているほか、安全な飲料水に関する法令に基づき地下水経路の線量限度は年間4ミリレムと規定。EPA では「高レベル廃棄物の長期的な貯蔵と処分に関する防護基準としては世界でも最初の例」と強調している。これらの基準はまた、ユッカマウンテン近隣に居住する1人の住民が同地で未処理の水を1万年間飲んだとしても、現代人がニューヨークからロサンゼルスまで飛行機で2往復した場合より被曝線量が低くなるよう設定されていると EPA は説明した。

これに対して原子力産業界は、地下水経路の基準を別個に設けることは住民の健康や安全にとって無意味だ」として不満の意を表明している。前政権時代に作成された同基準には米原子力規制委員会も異議を唱えているが、産業界はすでに今年1月、同基準案が提示された時点で、不当に厳しい基準だとしてその撤回を EPA に求める訴訟を起こしていた。

産業界はまた、この基準をユッカマウンテンで採用すれば、処分場設備の安全性を高めることなく認可や建設のためだけで新たに数10億ドルの負担を納税者や力消費者に強いることになると警告。すべての経路による放射線全体の防護基準だけで、92年のエネルギー政策法で要求されているすべての潜在的な被曝に対する個人の防護項目に十分対応できると訴えた。


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