[原子力産業新聞] 2001年7月5日 第2094号 <1面>

[ITER] 国内候補地選定作業始まる

誘致提案を公募

国際熱核融合実験炉 (ITER) の国内誘致地点の適地選定にむけ、「ITER サイト適地調査専門家会合」(座長・秋山守エネルギー総合工学研究所理事長) が4日、初会合を開いた。8月中旬を目処に、専門家会合で設定した基本条件等の評価項目に沿って誘致候補地点の自然条件や社会条件等を調査し、選定にあたっての判断材料を専門的な見地から検討する。すでに国内からは北海道、青森、茨城から誘致の声があがっているが、近く都道府県知事からの提案という形で提案書をうけて、地元からのヒアリングを含めて検討を行い、最終的には評価項目ごと数値化して候補地点の条件を評価、一本化にむけ選定のための調査結果をとりまとめ文部科学省に提出する。

ITER 計画は工学設計を今月中に終えて、実際の実験炉建設へと歩みを進める。そのため、建設候補地の選定が焦点のひとつとなっている。すでに ITER に参画してきたカナダがオンタリオ湖畔のクラリントンを候補地として正式に名乗りを上げている。また EU からはフランス南部のカダラッシュを候補として正式表明へと準備を進めており、8月末までには名乗りをあげるものとみられている。日本もこれにあわせて国内候補の一本化をはかる方針。

そのため今回、専門家会合が設けられた。まず選定にあたっては、文部科学省が近く誘致候補の公募を行い、都道府県の知事を通じて、「ITER サイト国内調査条件」に示された評価項目に沿った「提案書」の提出を求める。その後に専門家会合で、求められる用地の広さや地盤などの土地や立地のためのインフラ、さらに地元の協力を得られるかなどの社会環境条件を含めた「基本条件」を満たしているか調べる。そのうえで土地や自然条件、交通の利便性、生活環境といった社会環境条件について「基本条件」に加え、「望ましい条件」も考慮して評価項目をウエイトづけし、評価結果をさらに数値化して選定判断が可能な調査結果をとりまとめる予定。なお、専門家会合では、調査の手法を確認したり、調査条件の整理を行い評価項目に対するウエイトづけを検討する調査設定グループと、実際の調査を進める調査実施グループの2つのグループに分かれ、別個に検討を進める。

文部科学省では、提案書の公募を7月初旬に行い、下旬には提案書を受付、次回の専門家会合は8月初旬に開催して地元ヒアリングを含めた調査を行う。8月中旬には最終の会合を開いて調査結果をとりまとめる。


Copyright (C) 2001 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.