[原子力産業新聞] 2001年7月5日 第2094号 <1面>

[総合エネ調] 原子力発電、需給目標ケースで10〜13基の増設必要と指摘

2010年までのエネ政策見通し

総合資源エネルギー調査会の総合・需給の合同部会が6月28日に開催され、長期エネルギー需給見通しを含めた部会報告書「今後のエネルギー政策について」を取りまとめた。「エネルギー起源の CO2 排出量を1990年比安定化する」とのわが国の目標達成のために、省エネルギー、新エネルギーの推進、電力等の燃料転換、原子力発電の積極的な導入など、需給両面にわたる対策の必要性を挙げている。なお需給見通しの2010年度「目標ケース」では原子力について、設備容量5755万〜6185万KW (設備利用率77〜83%と仮定)、今後10〜13基程度の増設が必要と指摘している。

報告書は、わが国エネルギー政策の基本目標である「安定供給・環境保全・効率化」を同時に達成することを前提に検討を実施。現在の政策枠組みを維持した場合、2010年度におけるエネルギー需給の姿 (基準ケース) の「エネルギー起源の CO2 排出量は、目標とする90年度の水準 (約2億8700万トン-C) まで低減せず、約3億700万トン-C (約6.9%増) となる」ものと見込み、超過分の2000万トン-C を、既存の対策に加えて省エネで600万トン-C、新エネで900万トン-C、燃料転換 (原子力含む) で500万トン-C をそれぞれ上積みして達成するとしている。

また報告書では、今後原子力発電所が増設されないケースについても試算を行い、今後原子力の増設が凍結された場合、目標達成のためにはより一層の CO2 排出量削減が必要となり、「厳しい措置が不可欠になる」と強調。具体的には基準ケースと比較して、製造業の生産額が約19兆円と大幅に下落 (マイナス 4.2%)、家計消費も約12兆円減少 (マイナス 3.9%) するばかりでなく、経済成長率は2008〜2010年度はほぼゼロ成長となり、雇用への影響も3.3%減少 (約280万人相当) すると予測しており、「原子力発電所を増設しないとの仮定の下において、同時に CO2 削減目標を達成するとした場合には、経済への大幅な影響を避けることは出来ない」と評価。部会としては選択できないと結論付けている。


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