[原子力産業新聞] 2001年7月5日 第2094号 <1面>

[会談] 平沼経済産業大臣、新潟で3首長と会談

柏崎刈羽3号機 MOX 燃料を視察

刈羽村でのプルサーマル住民投票から1か月余りが過ぎた6月30日、平沼赴夫経済産業大臣は新潟県庁に平山征夫知事を訪ねた後、その足で柏崎にむかった。東京電力柏崎刈羽原子力発電所を視察するとともに、西川正純柏崎市長ならびに品田宏夫刈羽村長とも会談するためだ。

平沼大臣はいうまでもなく、我が国の燃料サイクル政策に重要な意味を持つプルサーマル計画の推進を指揮する経済産業省の総責任者。計画が相次いで苦しい状況に追い込まれる中で、発電所立地地域住民のみならず国民全体の理解を得て、なんとかプルサーマルを前進させなければならない立場にある。現地の空気を肌で感じることが必要との思いもあっただろう。

その平沼大臣に対しては、新潟県知事、柏崎市長、刈羽村長が先月15日、3者連名で提言を出していた。プルサーマル計画をめぐる地元動向から見た原子力政策の今後のあり方を見直すよう求めたものだ。

知事らはその中で、 (1) プルサーマルを含む核燃料サイクル政策について国のエネルギー政策上の必要性をあらためて明確にすること (2) 住民投票結果を真摯に受け止め、原子力利用の国民の合意形成における国の役割を見直し、総合的・持続的に取組みを図ること (3) あらためて国としてプルサーマルの今後の進め方の方針を明確化すること (4) 消費地域の原子力発電所立地に対する理解促進と、立地地域住民が誇りと安心感を持って共生できる社会的環境を整えること−を要望した。どれも安易な対応では済まされない内容だ。

地域からのこうした厳しい声に対して、中間的な段階ながらも国としての答えを提示することが新潟訪問の目的でもあった。

大臣は平山知事や西川市長、品田村長に対して、これまで国が行ってきたプルサーマルの説明や対応が不十分だった点を反省した上で、政府全体としての取組みの中で、必要性と安全性への理解を訴えていく決意を伝えた。首長らの提言にも指摘された立地地域に対する消費地域側の理解を増進させるために商工会議所などの活用も含め "重層的な" 方策を模索していることを明らかにした。

原子力発電を所管する大臣としては、通産大臣・経済産業大臣を通じて今回が初めての柏崎刈羽発電所訪問。視察を終えた平沼大臣は「MOX 燃料が安全に管理されている現場を目にして有意義だった」と感想を述べ、「安心した」とも語った。燃料プールの中の MOX 燃料は大臣の目にどう映っただろうか。

この日の視察には、ほかに柏崎市と刈羽村の両首長に加え、両議会議長や議員ら多数が顔を揃えた。大臣自身が視察を呼びかけたという。

国の政策責任者と地元住民を代表する議員らが MOX 燃料を見るという体験を共有できた時点から、プルサーマル実現にむけた取組みは新たに一歩を踏み出したと言えそうだ。


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