[原子力産業新聞] 2001年7月5日 第2094号 <3面>

[英国] 英国SMPの操業めぐり、公聴会の手順で反対派が提訴

英原子燃料会社 (BNFL) は6月22日、セラフィールドにある MOX 燃料製造工場 (SMP) の操業開始に関する公聴会の後、反対派が政府のこのような諮問手続きは司法審査にかけるべきだとして高等裁判所に訴え出ていたことを明らかにした。

5月23日に終了したこの公聴会は、SMP が操業を始めた場合の経済性をめぐって開かれていた4度目のシリーズのもの。しかしこの直後、反原子力団体である「地球の友」 (FOE) は次の2つの問題点に基き提訴に踏み切ったとしている。すなわち、 (1) 公聴会の期間内では BNFL が改定した SMP の経済性に関する独自の分析結果を十分に審査・コメントすることは難しい (2) BNFL の依頼で並行して独自の分析・評価を実施した ADL 社は、同工場の回収不能コストを考慮しないよう指示されていたと思われる−など。

これに対して政府の環境・食品・地方問題省 (DEFRA) が裁判所に提出した返書は、ADL 社版の分析報告書を次回の4週間の公聴会期間中にできるだけ早急に公開すると約束。ただし、この場合、BNFL の企業秘密に係わる営業上の機微な情報は除外されるとしている。

一方、BNFL は「今回の件は良い結論が導き出されるまでの、さらなる最終ステップと受け止めており、政府ができるだけ早くこの不確定な状態に終止符を打ってくれるよう期待する」とコメント。SMP の操業が合計で2000近い雇用を生み出すことから、「BNFL だけでなく西カンブリア地方の将来の経済のためにも非常に重要」との見解を示した。また、同社はすでに SMP の製造能力の4割に相当する顧客契約と予約を獲得済みであることを明らかにするとともに、操業による環境への影響は無視できる程度だと言明。首尾よく操業開始にこぎ着けるよう今後も努力していきたいと訴えた。


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