[原子力産業新聞] 2001年7月19日 第2096号 <4面> |
[東芝] X線 発光可変型カラーシンチレー夕、透過率に応じて撮影可能百倍の感度幅で各種検査に威力東芝は9日、独自開発のシート状カラーシンチレータと CCD カメラを組み合わせ、X線透過率に違いのあるプラスチックから金属まで同時に撮影できるX線透視撮影装置を開発したと発表した。火力・原子力発電所などの配管減肉観察や異物混入検査に適しているほか、将来的には半導体部品検査装置や空港の手荷物検査装置、医療用診断装置への応用も可能という。従来のX線撮影装置は、X線透過率の異なる部位で構成された対象物全体を映し出すことは難しく、X線 CT スキャナーなどでは連続撮影して得たデータを高性能コンピューターを用いて高速処理することで対象物全体の映像をとらえていたが、複雑で高価な設備を必要としていた。 そこで同社では、X線に対し赤・緑・青の三原色で発光し、透過量に応じて発光割合が変わるシート状カラーシンチレータを開発、従来のモノクロ撮影と比較して感度の幅を約100倍に広げることに成功した。これにより、X線透過率の高い部分から低い部分までを同時撮影・表示することが可能になった。大面積のカラーシンチレータを用意すれば、従来のX線透視撮影装置では撮影できなかった大きな対象物の透視撮影も可能となる。同システムの構成は、開発した安価なシート状カラーシンチレータに透視画像を感光させ、CCD 素子で直接読み取るという簡便なもので、TV モニターに繋ぐだけで表示できる。 また、高感度化 CCD カメラの採用により、簡単な操作で動画撮影や現場でのディスプレー表示、VTR への取り込みを行うことができるほか、パソコンとの連携で、画像処理や遠隔診断も実現できる。さらに、フィルムレスのため現像作業の省略など、検査工程の短縮やコストの低減にも貢献できるという。 |