[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <3面>

[米国] 第4世代原発で国際フォーラムを設立

資源、設備の共有で共同開発

米国エネルギー省 (DOE) のS.エイブラハム長官は7月23日、第4世代の原子炉および原子燃料サイクル技術を2030年までに開発するための国際集合体となる「第4世代原子炉国際フォーラム (GIF) 」の正式な設立条項に、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、フランス、日本、韓国、英国といった原子力先進国政府とともに署名したことを明らかにした。

この設立条項は、安全かつ信頼性が高く、経済性や核不拡散性という点でも優れた先進的な原子力発電システムの国際共同研究を計画・実施する際の枠組みとなるもの。GIF の活動自体は、次世代の原子炉技術に関する研究開発のためにブッシュ政権が打ち出した「国家エネルギー政策」の勧告を支援する役割を果たしていくことになる。

エイブラハム長官は声明の中で、原子力発電技術は今日および明日のエネルギーを賄っていくために必要であり、クリーンで豊かなエネルギー源のひとつを世にもたらす」と断言。今回の署名は、米国とその国際パートナー達が安全で一層信頼性が高く経済的、核不拡散性も高い革新的で革命的な原子力技術を開発していく上での基盤になるとの認識を示した。

GIF の参加国は今後、第4世代原子炉の設計開発を効率的かつ重複を避けて進めるために、それぞれの資源や専門的知見、施設を共有し、協力して活動していく。目標としては、経済的で信頼できるエネルギー供給を前提として承認・建設され、操業できるような第4世代の原子力発電システムの概念を1つ以上開発することだと説明している。

GIF 参加国は現在、2002年秋の完成を目指して、開発に必要と思われる研究、最も有望な技術を開発するための研究を特定する「技術ロードマップ」を作成中。これは GIF における将来のすべての研究活動の基盤として活用される計画だ。GIF はまた、産業界、学界、政府、非政府組織など国際的な研究コミュニティのすべての要素と共同で活動していくことが求められるとしている。

GIF の原型は2000年1月に9か国の代表がワシントンDCで会合を持った際に形作られており、その際に初めて、長期的なオプションとして第4世代の原子力システムについて調査を開始するとの共同声明が発表された。この後、2000年8月に韓国のソウルで第2回会合、今年3月にはパリで第3回会合を開催。次回は今年の10月に米国のマイアミで GIF の会合が予定されているが、現時点の非参加国も設立条項の承認により新たに GIF への参加が可能だとしている。


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