[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <4面> |
[NSネット] 三菱マテ那珂を対象にピアレビュー安全への取組みを評価ニュークリアセイフティーネットワーク (NSネット) は7月25日、茨城県那珂郡那珂町にある三菱マテリアル総合研究所那珂研究センターを対象とした、相互評価 (ピアレビュー) の結果を公表した。 ピアレビューは、同ネットの会員の専門家からなる「レビューチーム」が会員の事業所を相互に訪問し、お互いに持っている知見を共有して原子力産業界全体の安全文化の向上をはかる、NS ネットの中心的制度。これまで燃料加工施設や原子力発電所などを対象に行われて来ている。 今回対象となる研究所は、原子燃料サイクル、エネルギー、環境、情報エレクトロニクス、フロンティア材料といった幅広い分野の研究開発を行う施設。そのうちレビューの対象となる原子燃料サイクル部門については精錬転換、燃料加工、再処理、廃棄物処理および廃棄物処分など、原子燃料サイクル全般について基礎的な技術開発から実用的なプロセスを確立するためのものまで幅広く研究開発を実施している。 今回のレビュー対象となる施設では、取り扱えるウランの量が最小臨界質量未満の量であることから、臨界事故を想定する必要はないため、センターの特徴である研究・開発テーマに応じた新しい作業や設備の変更をともなう作業に関する安全確保への取り組みや、核燃料物質を扱う施設における火災など重大事故防止への取り組みの状況にポイントを置いて、東北電力、三井造船、電力中央研究所、中国電力、九州電力からなるレビューチームが (1) 組織・運営 (2) 緊急時対策 (3) 教育・訓練 (4) 運転・保守 (5) 放射線防護 (6) 重大事故防止 -- の分野に展開した上でレビュー項目を決定し、原子力産業界のベストプラクティスに照らして実施した。 調査の結果、レビューチームは「直ちに改善措置を施さなければ重大事故に繋がるような項目は見いだせず」「センター長をはじめ全所員が一体となり、原子力安全確保を継続・強化していくために真剣に取り組んでいる実態が確認された」としている。 また、良好事例として (1) 原子力安全対策委員会を中心とした関係会社も含めた原子力安全確保体制 (2) 火災警報などに連動した所員呼出し用連絡装置(3) 自主的に策定した保安規則などによる厳格な安全および施設運用管理 -- などを挙げ、一方、操業の安全性をさらに向上させるために「センターにおける安全活動の経験・ノウハウなどの社内文書への明文化」、「他社におけるヒューマンファクター研究事例の活用」および、「非常時対応の要点や安全上の重要事項に関する現場掲示の充実」などを挙げている。 |