[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <1面>

[総合エネ調査会] 廃止措置は30年メドに

低汚染の機器、先行解体も

総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会に設けられた廃止措置安全小委員会は2日、「実用発電用原子炉施設の廃止措置に係る安全確保及び安全規制の考え方について」の報告書をとりまとめた。

我が国初の商業用原子力発電所である日本原子力発電の東海発電所が、1998年3月に運転を終了、今年6月に燃料搬出が完了するなど、今後、廃止措置の段階を迎える。今回の検討は、実用発電用原子炉施設としては初めてとなる廃止措置を控えて検討を進めてきた。報告書は、従来原子力安全委員会や原子力部会等の検討、また海外の知見などもあわせて検討し、廃止措置を系統除染、安全貯蔵、解体撤去の3つの工程に分けて進めることを基本とする考え方を示した。適切な計画の立案に基づき、解体等で生じる廃棄物の管理、あるいは資金面など廃止措置に関するポイントごと考え方を盛り込んでいる。特に解体の進め方に関して従来、施設全体を除染した後、安定した保管状態にとどめ、その後に解体撤去するとの考え方であったが、当初から、あるいは除染等により汚染程度の低いと認められる機器等の解体については先行して解体することも認めうるとの合理的な考え方を示した。

さらに報告は、こうした廃止措置に要する期間として、従来の原子力部会報告で約15から16年と想定している点、またその後の知見も踏まえて具体的な完了期限については、30年程度を一応の目途とする考え方を示した。この場合、報告は運転期間、運転停止後廃止措置着手までの間の燃料搬出等の期間をあわせて考えても、廃止措置の完了までに、放射性物質の施設外への拡散防止機能、遮へい機能を有するコンクリート壁等は健全に保たれ得ると考えられるとしている。

一方、報告は、敷地内の他の原子炉施設との関係等の理由から廃止措置を30年程度の間に完了することができないと見込まれる場合は、個別にそのための安全確保対策を確認する必要があることも指摘している。


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