[原子力産業新聞] 2001年8月30日 第2101号 <1面>

[文部科学省] 来年度予算概算要求まとめ

前年度比6.4%減額、重点配分へ

文部科学省の2002年度原子力関係予算概算要求案の内容が28日、明らかになった。総額で今年度予算より221億円減 (6.4%減) の3258億円が見積もられた。うち一般会計分は1376.6億円 (今年度予算比15.7%減)で、電源開発促進対策特別会計は1557.5億円となった。電源特会のうち電源立地勘定は392.1億円 (同1.3%増)、電源多様化勘定は1165.4億円 (同3.7%増) が示された。また、国立学校特別会計としては323.9億円が見積もられた。

大強度陽子加速器、原子力教育支援など

概算要求額を政策の事項別で見ると、原子力の安全確保対策などに425.6億円 (今年度予算比4%減) 。原子力への理解増進と立地地域との共生としては原子力教育支援事業推進のため新規施策を含め264億円 (4.4%増) が計上された。

核燃料サイクルの研究開発では1111.1億円 (同13%減)。先端的な原子力科学技術の推進には1279億円 (同4%減) が見積もられ、このうち大強度陽子加速器計画は前年度より56億円増の103.4億円となる一方、核融合研究には前年比34.2%減の151.8億円の計上となった。放射線利用研究にはほぼ前年同の164億円が見積もられている。

要求額を機関別にみると、日本原子力研究所は909.8億円 (同12%減) となっている。安全確保と防災に関連して、安全性研究に59.6億円、原子力防災対策に6億円を要求。大強度陽子加速器計画を含む中性子科学研究に76.2億円、大型放射光施設関連研究に46.3億円、高温工学試験研究に27.7億円などの要求額となっている。核融合研究開発費用としては、今年度予算より56億円減の55億円の要求額に留まった。国際熱核融合実験炉 (ITER) の工学設計活動が終了したことなどによるもの。

核燃料サイクル開発機構は、一般会計173.9億円、電源特会多様化勘定1040.7億円の合計1214.6億円の要求額 (今年度予算比10%減) が示された。FBR サイクル技術の研究開発には今年度より48.1億円少ない61.4億円が計上されたほか、現在安全審査が行われている「もんじゅ」の安全対策に関わる工事のために19.3億円が要求された。燃料サイクルシステムや革新型炉に関わる公募型技術開発に対して56.4億円が新たに計上された。

独立行政法人放射線医学総合研究所については、今年度比1.4%増の総額150.4億円が要求された。

理化学研究所の原子力関係要求額は12.8億円減の72.2億円となった。

このほか、電源特会立地勘定から原子力防災対策委託費として三次被ばく医療体制整備に1.4億円、電源立地等推進対策交付金として原子力教育支援事業への交付金4.8億円がそれぞれ新たに盛り込まれた。

一方、国立学校特別会計のうち原子力関係では、核融合に対して92.7億円 (今年度予算比21%減) が見積もられた。核融合科学研究所大型ヘリカル装置による研究に対する要求が21億円減額した。なお、原研と共同で進める大強度陽子加速器計画には、大学共同利用機関などでの研究として、32.7億円が要求されている。


Copyright (C) 2001 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.