[原子力産業新聞] 2001年8月30日 第2101号 <3面>

[米国] エネ省、ユッカマウンテンの適性を予備評価

環境庁の防護基準、クリア

米国エネルギー省 (DOE) は21日、使用済み燃料など高レベル放射性廃棄物の最終深地層処分場候補地であるネバダ州ユッカマウンテンのサイト適性予備評価報告書を発表した。これは環境保護庁 (EPA) が公表していた周辺住民の健康と環境を守るための放射線防護基準に照らし合わせた評価で、「同サイトは EPA の防護基準および米国原子力規制委員会 (NRC) が提案した規制値を満たすことが可能」との結果を得たことを明らかにしている。

EPA は今年6月、同処分場に最も近い場所に居住する市民の健康影響に配慮して、すべての経路からの被曝線量が年間15ミリレム (0.15 mSv) を超えないことを定めるとともに、安全な飲料水に関する法令に基づき、地下水経路の線量限度は年間4ミリレムと規定していた。DOE の予備評価結果では、処分場の操業期間中に個人が被曝する最大の線量は年間0.06ミリレムとなった。また、処分場閉鎖後の期間を含めた1万年間の線量を評価モデルを使って試算した結果では、処分場から20キロメートルの位置に居住する個人の最大の平均年間実効線量当量は、通常のシナリオのほかに火山活動や地震など破壊的なシナリオを考慮しても0.08〜0.1ミリレムとなり、NRC が提案した技術基準である年間25ミリレムはもちろん、EPA が定めた15ミリレムも十分クリアしていることが判明。地下水による被曝については0.0〜0.00005ミリレム程度だったとしている。

なお、DOE は同じ日、ユッカマウンテンを処分場として勧告するか否かに関する一般市民の見解をさらに聴取するため、5月から始まった公聴会の開催期間を9月20日まで延長することを決定したほか、開催日時や場所など具体的な開催計画を公表。今回の予備評価結果はそれらの公聴会における追加情報として活用されることになっている。DOE はまた、予備評価結果を同計画への反対派も含めた関係株主、科学団体の指導者達にも配付するよう民事用放射性廃棄物管理局に指示。できるだけ幅広い層から見解を集めるとの考えを明らかにしている。


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