[原子力産業新聞] 2001年9月13日 第2103号 <2面>

[ロシア] 原子力省、原潜処理の状況語る

2010年までに180隻を解体

退役した原子力潜水艦の解体処分が進行中のロシアから、原子力省 (MINATOM) の傘下にある「高度技術協会 (ASPECT)」のベンジン副総裁らが先月末、来日した。

非核化支援として国際協力を得て行われているロシアの潜水艦解体処分は、一方で環境面でも十分な安全を確保して進められなければならない課題だ。こうした原潜解体処分に重要な役割を果たしている ASPECT の一行が滞在中行った記者会見でプロジェクトをめぐる動きについて紹介した。

ASPECT は潜水艦の解体処分に関連する施設建設の米ロ協力プロジェクトにおいてロシア側元請け機関としてプロジェクト管理を担当。実際の解体作業にあたる国営ズベズダ造船所で8月2日、太平洋艦隊の戦略ミサイル潜水艦解体処分からの低レベル液体および固体廃棄物の処理施設が完成した。これにより、北方地域にあるズベズドチカ造船所での処理施設、極東での二次廃棄物の中間貯蔵施設建設と並行して進められてきた3プロジェクトが完成したことになる。

ズベズダ造船所ではこれまでに戦略原潜18隻を含む23隻の解体を済ませている。ロシアとしては2010年までにすべての退役潜水艦180隻程度を解体する計画だ。

日本とロシアの間での協力も進行している。両国間には核兵器廃棄協力委員会があり、日本が非核化支援として95年から協力を行っている。解体原子炉から出る放射性冷却水を処理する浮遊式施設「すずらん号」を日本の援助で建設し昨年操業を開始した。これまで1300立方メートルの冷却水を処理している。「すずらん号」が完成したことで、解体処分による汚染から環境を保護する基礎ができたといえる。日本の協力に感謝したい。

今後の退役原潜解体処理プロジェクトでは、日本との間で (1) ズベズダ造船所に保管中の使用済み燃料を処分場まで輸送するための鉄道線路の敷設 (2) 多目的潜水艦一隻の解体 (3) 多目的潜水艦からの使用済み燃料の取り出しや輸送・密封などの技術開発 ---- のプロジェクトヘの協力実施が合意されている。こうした協力に1億6000万ドルが供与される予定だと聞いている。プロジェクトが早期に動きだし、成功することを望んでいる。


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