[原子力産業新聞] 2001年9月20日 第2104号 <2面>

[NSネット] NSネットセミナーを開く

危機管理の強化を

「科学技術の進歩を信じたい。ある技術で出来た副産物を、新しい技術で克服していく。これが人間の知恵ではないだろうか?」− 舛添政治経済研究所長の舛添要一参議院議員は、13日に開かれたニュークリアセイフティーネットワーク (NS ネット) の「NS ネットセミナー」における講演の中で、このように語った。

NS ネットセミナーは、原子力産業界の安全意識の徹底や、安全文化の共有化を図る NS ネットの主要な業務のひとつ。年に1回のペースで開かれており、2回目の開催となる今回、会場となった東京・千代田区の都市センターには同ネットの会員ほか関係者が詰めかけ、熱心に聞き入っていた。

「理事長に就任してから2年が経つが、その間大きな変化があった」とする牧野理事長の挨拶に続き、講演「混迷するエネルギー問題への処方箋」を行った舛添要一舛添政治経済研究所長は冒頭、米国で起きた連続テロ事件に触れ、「日本は危機管理体制が弱い」と指摘。また「日本も原子力発電所に対するテロ対策を、もっと考えなくてはならないかと思う」として、これを参議院議員でもある自身の仕事であるとの認識を明らかにした。

引続き本題に入った同氏は、環境・経済・エネルギーセキュリティのいわゆる「3E」の同時達成が目標との認識を示し、風力や太陽光など新エネルギーは、安定供給とコスト面でやや難点があるために、原子力をベースとして長期的なエネルギー計画を立てていくべきと強調。その上で (1) 生産地と消費地がお互いに理解し合うようにする〜生産地に対して消費地の住民が感謝の念を持つように (2) プルサーマルでは、「なぜリサイクルが必要なのか」を系統的に説明する〜プルトニウムの平和利用をエネルギー政策のなかでどう位置づけるか (3) 原子力発電所における安全対策について、国民にきちんと説明していく〜「絶対安全」を強調し過ぎていたきらい (4) 広報にもっと人材と予算をつぎ込む〜「テレビ時代」の広報体制。事故時に間違った情報が流れないようにする工夫 (5) 原子力の情報を、国民が消化できる形で分かりやすく提供していく〜各種会議や事業者の安全に向けた活動もオープンにしていく − ことを、「原子力問題への提言」として掲げた。

その後会は、「21世紀の原子力を安全で信頼あるものとするために」と題するパネルディスカッションが行われ、活発な意見交換が行われた。


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