[原子力産業新聞] 2001年9月27日 第2105号 <2面> |
[原産] ソウルで日韓原子力産業セミナーを開催電力再編進む韓国日韓両国の原子力産業会議が主催する「第23回日韓原子力産業セミナー」が24、25日の両日、ソウル市内のホテルで開催された。日本側は山崎吉秀電源開発副社長を団長とする21名からなる代表団を派遣した。セミナー参加者は日韓両国の発表者を含め約230名にのぼった。 セミナーは、開会セッションと、「原子力発電所運転保守の技術的向上」「放射性廃棄物処分」「新技術による原子力発電安全性の向上」「原子力技術の科学利用」「改良型および新型原子炉システム」 − の5つのテーマをもとに、両国による論文発表と意見交換が行われた。 初日の開会セッションでは、日韓両団長により、今回の米国のテロ事件への追悼の辞があった後、特別講演を実施。韓国水力原子力の崔洋祐社長は、現在、発電所が16基、1371万kW の設備容量、発電量の40%を占めている最近の韓国の原子力事情を紹介。中でも、電力再編に関しては、韓国電力の発電分野を5つの火力発電と1つの水力、原子力会社に分割し、火力部門を民営化する計画であるとし、また次世代原子炉として140万kW 級の APR1400 を開発中であると述べた。 山崎団長は、核燃料サイクル事業、原子力防災対策などの進展や、高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開に向けた動きを紹介した。最後に、原子力には現在、プルサーマル計画の遅れをはじめとする「アゲンストの風」が吹いているが、環境やエネルギーの安定供給を考えれば、原子力開発は重要であり、そのためには産官学一体となって開発への努力を怠らないことが大切であると締めくくった。 放射性廃棄物処分に関するパネルセッションでは、韓国内で中・低レベル廃棄物処分場建設地の選定に困難をきたしている現状と問題が、日本の立地経験の発表をもとに話し合われた。この中で、韓国環境技術院の参加者は、日本の六ヶ所村の立地経験において、政府、事業者、自治体が密に連絡を取り合い、住民との話し合いを重ねてきた経験を「他山の石」として見習いたいとし、また、韓国国内の問題として、政府が廃棄物に無関心であることと、自治体の長の決断が議員などの意向に左右されるという背景について言及した。 |