[原子力産業新聞] 2001年9月27日 第2105号 <2面>

[総合科技会議] 原子力の長期開発課題

技術基盤確立が重要

総合科学技術会議は21日夜に開かれた本会議で、同会議・重点分野推進戦略専門調査会がとりまとめた科学技術8分野の分野別推進戦略に関する案を了承した。

今年3月30日に閣議決定された科学技術基本計画には、研究開発の投資効果を向上させるために重点的な資源配分が必要だとの考え方が盛り込まれるとともに、基本計画が定める各重点分野において、重点領域や推進方策などを含めた推進戦略を個々に策定するよう求められている。

重点分野推進戦略専門調査会では、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティア − の合計8分野に対して4月から分野別に議論を進め、推進戦略案を作成。21日に同調査会として最終案を確定していたもの。

そのうち、エネルギー分野については、エネルギーの特質を踏まえ、「安全・安心、国際競争力ならびに国際協力・貢献への各視点」が配慮されるべきとの考えに基づき、"将来の社会経済に適合するエネルギー源の多様化"、"エネルギーシステムの脱炭素化"、"エネルギーシステムの効率化" および "基盤科学技術の充実" − が基本的視点だとしている。

こうした考えに沿って、(1) 供給、輸送、変換、消費にわたるエネルギーシステムの変革につながる研究開発 (2) エネルギー・インフラを高度化するために必要な研究開発 (3) エネルギーの安全・安心のための研究開発 (4) エネルギーを社会的・経済的に評価・分析する研究 − を重点領域とすることが盛り込まれている。

その上で、今後5年間の研究開発目標を提示。特に原子力については、(1) の供給、輸送、変換、消費にわたるエネルギーシステムの変革につながる研究開発の中で、核燃料サイクルの段階的開発や、核融合発電など長期的研究開発課題の基盤技術開発を盛り込んだ。 (2) のエネルギー・インフラを高度化するために必要な研究開発の中で革新型原子炉の技術基盤の確立も重要だとしている。さらに、(3) エネルギーの安全・安心のための研究開発では、高レベル廃棄物処分の地質環境把握研究の実施や原子力の安全性を保障する技術の高度化などを目標に掲げている。

推進戦略がまとまったことを受け、総合科学技術会議ではこのあと、来年度特に重点的に推進すベき事項を明確にした上で、科学技術に関する予算や人材等の資源配分の方針を作成する。こうした方針を反映する予算編成が実現するよう、財務当局とも連携を図っていく考えだ。


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