[原子力産業新聞] 2001年10月11日 第2107号 <1面>

[日本原子力発電] 東海発電所廃止措置、解体届けを経済省に提出

先行解体今後10年間で

日本原子力発電は4日、東海発電所 (GCR、16万6000kW) の解体届けを、経済産業省に提出した。作業の開始は12月4日の予定で、今後10年間原子炉を密封し、放射性物質濃度の減衰を待つとともに、その間には使用済み燃料プールの洗浄・排水、原子炉サービス建屋領域などの解体撤去、熱交換器解体撤去などを「先行解体」として、2011年3月までに行う。そして同年4月からは、原子炉本体および各建屋の解体撤去作業に入り、2017年3月までに、全ての工程を終了する予定だ。総事業費は約930億円を予定。なお原電では安全協定に基づき、東海村および近隣市町村に対しても、廃止措置にともなう報告書を、同日提出している。

わが国初の商業用原子炉として、1966年に営業運転を開始した原電の東海発電所は、(1) 炭酸ガス冷却炉であるため、原子炉や熱交換器が出力の割に大きく、発電単価が軽水炉に比較して高い (2) 国内唯一の炉型のため、保守・点検費用が割高 − などの理由から、1998年3月に営業運転を終了し、今年の6月には発電所内全燃料の搬出を完了するなど、廃止措置の準備を整えていた。

今回提出された「解体届け」は、解体の方法および放射性廃棄物の処分の方法について経済産業大臣に届けるもので、原子炉等規制法においては、「廃止措置段階」の第1歩に位置付けられている。

具体的な工程は、作業スペース確保などのため、使用済み燃料冷却池の洗浄・排水、原子炉サービス建屋領域・燃料取り扱い建屋領域の設備などを解体撤去する「第1期」(2001年12月4日〜05年度)、熱交換器の解体撤去および、除染設備、放射性廃棄物前処理設備などの設置を行う「第2期」(06年度〜10年度)、原子炉本体および、生体遮蔽体など建屋内の設備を解体撤去後、各種建屋の解体撤去などが行われる「第3期」(11年度〜17年度) の3期に渡って実施される。

一方、解体にともない発生する放射性廃棄物については、基本的には「性状に応じて減容、固化などの処理後、容器に封入し、最終的には埋設処分を行う」としており、第1期および第2期で発生する放射性廃棄物は少量であることから、既設の貯蔵設備で第3期 (原子炉本体解体撤去工事) を開始するまでに一次保管を行う計画。その後の埋設処分先は、低レベル放射性廃棄物ながら比較的放射性物質濃度の高い廃棄物の出る、第3期工事前までに確定することとしており、確定できない場合には、安全貯蔵期間を延長する方針だ。

なお原電では、廃止措置が完全に終了した跡地について、最終的に「発電所用地として有効利用可能な状態に復する計画」としている。


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