[原子力産業新聞] 2001年10月18日 第2108号 <3面>

[米国濃縮会社] ロシアの核弾頭「7年で5000個を解体」

125トンが原子炉燃料に

米国濃縮会社 (USEC) は9月26日、これまでにロシアの核弾頭5000個が無事に解体され、そこから出た核物質125メトリックトンが米国の商業原子炉用燃料に転換されたと発表した。

これは米露両国が93年に締結した、「核爆弾物質を発電用燃料に変える計画」の中で行われたもの。両国政府は20年間でロシアの核兵器解体から出た高濃縮ウラン (HEU) 500トンを低濃縮ウランに希釈し、米国が国内の商業炉燃料用に120億ドルで買い取ることで合意に達していた。これまでの7年間で、米国側の窓口企業であるUSECが濃縮ウランの代金としてロシア側のTENEXに支払った総額は20億ドル (2500億円) に上るが、500トンの4分の1にあたる125トンの HEU は、米国全体で必要な電力量を6か月間発電するのに十分な燃料が原子炉に供給されたことを意味すると USEC では指摘している。

この支払いに税金は一切使われておらず、USEC はロシアの高濃縮ウランを原料とする低濃縮ウランとともにケンタッキー州パデューカにある自社工場で生産した低濃縮ウランを米国内で販売しており、市場での競争力向上に役立っていると強調した。

USEC の予想では、今年末までにさらに核弾頭700個分にあたる核物質が原子炉用燃料に転換され、解体済みの核弾頭の総計は5700に達する見込み。9月に起こった同時多発テロ事件は核弾頭の保障措置に対する世界の懸念を一層増幅させており、今年は USEC の濃縮ウラン購入量を増加することも検討中だとしている。


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