[原子力産業新聞] 2001年10月26日 第2109号 <2面>

[サイクル機構] 若手技術者ら参加して21世紀のあり方を討論

核燃料サイクル開発機構は17日、第3回サイクル機構シンポジウムを都内で開催し、同機構の進める研究開発等の取り組みを紹介した。特別講演では「南極観測の40年」をテーマに国立極地研究所の渡邉興亜所長が、地球環境問題の側面から南極観測のこれまでの取り組みを述べ、続いて FBR 実用化戦略研究などサイクル機構の活動状況が報告された。

また、シンポジウムの後半には「21世紀のサイクル機構に言いたい、聞きたい!」と題するパネル討論が行われ、これからのサイクル機構の方向性などについて議論が行われた。モデレーター役を科学ジャーナリストの中村政雄氏がつとめ、パネリストには仏大使館の植松真理・マリアンヌ原子力参事官主席補佐、東海大学の大山七穂文学部助教授が参加。また同機構の中堅・若手研究者として、敦賀本部高速増殖炉もんじゅ建設所の大場俊雄氏、東海事業所環境保全・研究開発センターの加藤智子氏、大洗工学センター燃料材料試験部の小山真一氏の3氏が議論に加わった。まず中村氏がサイクル機構の3名の研究者に、それぞれの仕事に関連して今後の展望を問いかけたのに対し、3氏のうち、大場氏はもんじゅの運転マニュアル改善などの仕事に携わる立場から、もんじゅの早期立ち上げに期待を示したうえで、課題となっている長寿命核種等の消滅処理や、発電炉としての利用についても、化石燃料の使用量抑制による環境負荷低減などの技術的な可能性があることを強調した。加藤氏は、高レベル放射性廃棄物の地層処分について安全研究に取り組んでいる立場から、環境影響などの将来的な予測にむけた知識の高度化に努力していく考えを示した。

植松氏は、サイクル機構の今後のあり方について、高速増殖炉の研究開発を例に「目的の明確化をはかるべきではないか」とし、高速炉を発電炉としての利用を考えるのか、長寿命核種の消滅処理といった目的に絞っていくのかを明確にしたうえで効率的な研究開発を進める必要性があるのではと、問いかけた。

大場氏はこれについて、「これまでは民間への技術移転という使命があった。これからはグローバル化など変化に対するスピードも求められる」との考えを示した上で、もんじゅについては「発電炉としての成立性や技術的な信頼性を確認するため立ち上げてデータを収集する必要がある。そのうえで発電炉か長寿命核種などの専焼炉か決めればよいと思う」との考えを示した。


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