[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <1面>

[サイクル機構] 「常陽」火災で調査委設置

定期検査中の核燃料サイクル開発機構大洗工学センターの高速実験炉「常陽」メンテナンス建家で、10月31日午後8時42分頃に火災が発生した。建家内にある機器ナトリウムの洗浄を行う機器洗浄槽の上部が燃え、午後11時30分には火は納まった。この火災による作業員への被ばくはなく、排気筒から外部環境への放射性物質の放出もみられなかった。サイクル機構では再発防止のため、火災の原因について調査委員会を6日、設置した。

火災はメンテナンス建家1階にある機器洗浄槽上部作業場で発生。1階部分は放射線管理区域内になっている。午後8時42分頃、火災報知器が鳴ったため、職員が制御室のテレビで確認したところ火災発生が確認された。到着した大洗町消防本部により9時11分から本格的な消化活動が始まり、最終的に11時30分に消防本部が鎮火を確認した。

今回火災が発生した機器洗浄槽は小型機器に付着したナトリウムの洗浄に用いられるもの。メンテナンス建家では、こうしたナトリウム洗浄や機器の分解、保修、一時貯蔵等が行われている。グリーンハウスと呼ばれるシートで覆われた機器洗浄槽上部作業場に置いてあった紙製カートンボックスとその中の難燃シート、ゴム手袋、紙タオルなどが燃えたとみられている。

今回の火災を受けて、サイクル機構では事故対策規定に基づき、外部識者を含む火災事故調査委員会 (委員長・中神靖雄副理事長) を設置、6日に第1回会合を開催した。今後、現場状況の把握と事故推移の解明ならびに物理的・化学的側面に加え、人的な面にも踏み込んで、火災原因の特定を進める。


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