[原子力産業新聞] 2001年11月8日 第2111号 <3面>

[ベルギー] エレクトラベル社、運転寿命制限に異議

「CO2 削減と矛盾」

ベルギーのエレクトラベル社は先月下旬、原子炉の運転寿命に上限を設けるという同国政府の方針は温室効果ガスの排出量削減目標達成と矛盾するとの見解を表明した。

これはG.フェルホフスタット首相が10月9日に連邦政府の施政方針演説の中で、「運転年数が40年を超えた既存炉は順次廃止措置が取られるよう国会に法案を提出する」と述べたのを受けて出されたもの。99年に発足した同政権は2014年以降、段階的に原子力発電から撤退したいとの意向を提示しており、施政方針演説後に同政権のO.デルーズ・エネルギー担当相は年内にも法案を提出する意向を明らかにしている。

これに対してエレクトラベル社側は「多くの関係団体が政府の方針に異議を唱えている」と主張。その一例として、経済協力開発機構/エネルギー機関 (OECD/IEA) が10月3日に公表した、ベルギーのエネルギー政策に関する報告書と勧告内容を挙げた。IEA はベルギー政府に対し、経済および環境への影響も含め、原子力に代わるさまざまな発電技術オプションについて定量的な比較分析を行うまでは原子力オプションを堅持するよう勧告。原子力発電所の運転期間に上限を設けることは京都議定書に記された緊急の国家目標を達成する上では何ら問題は生じさせないかもしれないが、原子力が同国の総発電電力量の約6割を供給し、これが総エネルギー供給で22%に当たることを考慮すると、将来、必ず難しい問題を提起するだろうと指摘している。

IEA はまた、ベルギーの前政権が設置したアンペール委員会の報告書に言及。この専門家グループが将来の発電について現政権の政策を審議した結果、同様の結論に達していた点を強調している。

以上のようなことからエレクトラベル社では、次の3点を改めて政府に断言した。すなわち、(1) 定期的な安全チェック手続きに相当額の投資を続けているため、ベルギーの原子力発電所は安全性、効率性ともに世界でもトップ・レベル (2) これらの発電所による発電コストは廃止措置費や使用済み燃料など放射性廃棄物の管理費を含めても他のすべての発電施設と比べて最も安い (3) 原子力発電のお陰で、輸送による総 CO2 排出量に当たるベルギー全体の25%相当の CO2 排出が抑制された−など。


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