[原子力産業新聞] 2001年11月15日 第2112号 <3面>

[ドイツ] シーメンス社、ハナウMOX工場を廃止

ロシアヘの機器輸出は断念

ドイツのシーメンス・パワー・ジェネレーション社は2日、ハナウで未使用のまま95年に放棄したMOX燃料製造施設の廃止措置を進める考えであることを認めた。

同社の広報によると、ハナウ施設内の機器をロシアが軍事用余剰プル処分のために計画していた新しいMOX製造施設用に輸出する計画に対して、今年6月にジェノバで開かれたG8サミットで政治的および財政的支援が得られなかったことが今回の決定の背景にあると指摘している。シーメンス社は94年、既存のMOX燃料施設に関して地元ヘッセン州政府から操業継続の承認が下りなかったため、同施設の永久閉鎖を決定。それから1年たたぬうちに、ハナウで95%完成していたMOX製造施設についても「政治的に存続し得える状況にない」として操業計画を放棄するに至っていた。

今回の判断に従って、シーメンス社は今後、MOX施設を解体するとともに、ハナウ・サイト全体をほかの目的に活用できるよう浄化作業を実施することになった。対象となるのは未完成のMOX製造施設のほか、70年代から操業していた既存のMOX製造施設および95年の9月に操業を停止した既存のウラン酸化物燃料製造施設。総経費は7億ユーロと見積もっており、いずれのプロジェクトも (1) 処理施設からの燃料取り出し (2) 処理施設の解体 (3) 関連施設と隣接施設の解体 (4) 建屋そのものの解体と除染 −の4段階に別れており、それぞれ個別の作業認可が必要になるとしている。

施設ごとの状況および作業の日程は次の通り。

ウラン酸化物施設=ヘッセン州政府は96年に廃止措置の開始を許可。シーメンス社は99年3月に最初の2段階の作業を完了し、残り2段階の作業認可を取得。建屋の3分の1が解体済みになっている。

既存MOX製造施設=97年および98年に燃料取り出し認可を取得。第1段階の作業は今年7月に完了した。シーメンス社によれば、同施設は91年に放射線関係の軽微な事象により操業途中で実質的に停止。2.25トンの照射済みプルトニウムが残されたため、さまざまな技術的な問題に直面したと言う。施設の最初の部分的解体認可は今年5月に発給された。

一時貯蔵施設=現在、ドイツには最終貯蔵施設がなく、両施設からの放射性廃棄物はサイト内の施設に一時貯蔵されている。

今後の日程=既存のウラン燃料およびMOX燃料施設はそれぞれ2003年と2005年に廃止措置を終える計画。跡地はハナウ技術公園として商業利用される予定で、公園部はすでに前倒しで全面的に賃貸されている。今後は残り2段階の作業として、それぞれ2500平方メートルおよび2000平方メートルの事務所スペースの建設が計画中だ。


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