[原子力産業新聞] 2001年11月15日 第2112号 <3面>

[米国] TVA、未完成の設備中心に原子力資産評価額引下げへ

米国のテネシー峡谷開発公社は10月24日、2001会計年度には電力販売の増加や金利支出の低下、債務の6億ドル以上の削減により歳入が約70億ドル (8540億円) に達する一方、未完成の原子力発電資産を中心に34億ドル (4148億円) の評価額の引下げを実施したと発表した。

TVA の声明によると、資産評価の調整は利益剰余金の37億ドル (4514億円) を対象とした経営外調整のため、同社の債務返済能力や現金収支、電力料金への影響はなく、長期的には同社の競争力強化につながる性質のもの。発電資産ごとの評価額引下げ分は、(1) 未完成のワッツバー2号機で17億2000万ドル (2) 未完成のベルフォンテ原子力発電所の2基で5億ドル (3) キャンセルされたハートヴィル原子力発電所で4億1000万ドル (4) 繰延べ債務の借換えコスト7億8900万ドル −となっている。

調整後の TVA の総資産額は約10%低下して297億ドル (3兆6234億円) となったが、これによって同社が今後、新規の資産、特にワッツバー2号機やベルフォンテ発電所のように将来の生産性が期待できる資産の建設をためらうことはないと強調した。

同社は現在、ブラウンズ・フェリー2、3号機、セコヤー1、2号機、ワッツバー1号機を操業中。70年代に3基を発注したが、73年の石油ショックとそれに続く経済不況、電力需要の低迷によりこれらの計画はキャンセルしている。74年から92年までに全米で200以上の発電所建設計画がキャンセルされたが、その内訳は火力と原子力でほぼ同数となっている。


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