[原子力産業新聞] 2001年11月15日 第2112号 <3面> |
[ドイツ] EnBW社、所有原発で臨時点検安全性を強調ドイツのエネルギー・バーデン・ビュルテンベルク (EnBW) 社は1日、同社が操業する全原子力発電所における緊急冷却システムの信頼性調査の結果を公表した。 この調査は同社のG.ゴール会長の指示で臨時に実施されたもので、先月、同社のフィリップスブルク原子力発電所2号機 (145万8000kW、BWR) で多重防護の原則に反する行為があり、技術的にレベル0の事象評定がレベル II に引き上げられたこと、また、同社の他の2サイトでも類似の事象が発生していたという事実に端を発している。 同社の声明によると、同社が操業するネッカーおよびオブリッヒハイム発電所で起きた事象は、一時的にホウ酸水タンクの水位が規定よりも5%、ホウ酸濃度は6%ほど低くなっていたというもの。安全上軽微であり、初期の操作マニュアルを個別の操作手順に準じて改定しなかったことによる技術安全要求項目からのズレに類するとしている。どちらもきちんと規制当局に報告されており、EnBW 社では「フィリップスブルクの事象とは根本的に異なる」点を強調した。 ただし、同社は基本的な安全操業規則と原子炉毎に定期的に改定される個別の操業基準の間の矛盾には言及しておらず、このような特定の変更を考慮に入れつつ基本的な操業規則を一層頻繁に改定することこそ明らかに必要な点だと結論づけている。 今後の対応として EnBW 社は規制当局と協力して出来るだけ早い機会に操業規則を慎重に改定したいと述べており、その際には様々な規則が明確に分類体系化されるよう、また、技術的知見と文章化された規則が効果的に補完し合えるよう心掛けたいと強調した。 なお、フィリップスブルク2号機の運転は今月末にも再開できると EnBW 社では予想しているが、原子力規制当局は「楽観的過ぎる」との見方を示している。 |