[原子力産業新聞] 2001年11月22日 第2113号 <2面>

[原研] JMTR、改良炉心で運転開始

運転日数増やし、利用拡大

日本原子力研究所は20日から、大洗研究所の (JMTR) 材料試験炉の改良炉心による運転を第142運転サイクル (11月20日から12月15日を予定) から開始した。

JMTR は、原子炉用の燃料、材料に中性子を当てて特性を調べる照射試験に幅広く利用されてきたが、近年、高い積算中性子照射量を必要とする照射試験に対する需要が増えていることから、年間の運転日数の増加策を検討してきた。

20日に運転を開始した改良炉心では、炉心に装荷する燃料体数を従来の27体から29体に増やすとともに、燃料の使用期間の延長や運転サイクル毎に装荷位置を移動することで、燃料をより効率的に燃焼させるようにした。この結果、原子炉の熱出力を低下させることなく、運転サイクル毎の燃料交換体数を減らすことができ、年間に使用する燃料体数は従来の64体のままで、年間の運転日数を従来の100日から180日に増加させることができるようになった。同改良炉心による運転に関しては、すでに今年3月27日に国の許可を取得している。

改良炉心による年間運転日数の飛躍的な増加により、年間の積算中性子照射量を大幅に増やすことができ、照射量当たりの利用費も低減できる見通しを得たという。またその結果、軽水炉の炉内構造材の照射の影響による応力腐食割れや核融合炉材料開発等の高い積算中性子照射量が要求される照射試験研究の大幅な期間短縮が可能となり、照射試験研究の進展に貢献できるものと期待されている。

JMTR は、軽水減速軽水冷却型の材料試験炉。原子炉の熱出力は50メガワット、熱中性子及び高速中性子の強さは最大約4×1014n/平方センチメートル・S であり、国際的にもトップクラスの中性子の強さで照射試験が行える。JMTR は、原子炉用材料及び燃料の開発のための照射試験、放射性同位元素の生産等を主な目的としており、主要な照射設備として、多種多様な照射要求に対応するためのキャプセル照射装置、原子炉運転中に任意の時期に必要な時間照射できる水力ラビット照射装置及びキャプセル照射試料を原子炉運転中にも取り出すことができるシュラウド照射装置があり、これらは研究所内外の研究者に広く利用されてきている。

これまでに、高温ガス炉及び核融合炉の開発のための照射試験、軽水炉燃料の開発及び確証試験としての燃料出力急昇試験、軽水炉の炉心構造材の照射試験を通じて、中性子照射による燃料や材料の損傷等の研究に役立てられ、また、放射性同位元素の生産に貢献してきた。

JMTR の運転は定格出力で25日を1サイクルとして行われ、年間4〜5サイクルの運転を実施している。JMTR の運転に用いる燃料は、研究炉燃料についての世界的な濃縮度低減化計画に基づき、1994年からウラン235濃縮度約20%の低濃縮ウラン燃料 (LEU 燃料) を使用している。


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