[原子力産業新聞] 2001年11月29日 第2114号 <1面>

[原子力安全委員会] 特定廃棄物処分安全性の検討に着手

専門調査会が初会合

原子力安全委員会に設けられた特定放射性廃棄物処分安全調査会が28日、初会合を開いた。昨年には最終処分の枠組みを定めた法律が制定され、それにもとづく実施主体が設立されるなど事業が進捗しており、これらの動向を見ながら関連技術の最新知見を整理するなどして安全委員会が昨年11月にまとめた処分の基本的考え方に適宜反映させるとともに、規制に関する技術的な調査審議を進める。

安全委員会では、昨年11月に高レベル廃棄物処分の安全規制に関する基本的考え方をとりまとめ、事業の許可申請時の安全評価や、建設・操業段階での安全確認の考え方などをまとめている。基本的には実施主体が精密調査地区選定の開始時期までに処分場の設計要件や安全評価に係る安全指標、基準値、安全評価シナリオを定めた安全基本指針を策定すること、また実施主体による最終処分地建設地選定までに、処分場の建設段階から事業廃止段階までの各段階で国が確認すベき事項を定めた技術上の基準を策定することなどを示している。同調査会はこうした検討を進める上で最新知見の整理や技術的検討などを進めるため設けられたもの。地震や地質、地球科学など幅広い分野から19名の専門家が委員として参画している。

初会合では、秋山守東大名誉教授が調査会長に選出され、東原紘道東大地震研究所教授が調査会長代理に指名された。秋山会長は、「グローバルで幅広い視野から妥当で合理的な考え方をまとめることが重要」と述べ、検討にあたって各委員からの協力を求めた。その後、国や実施主体として設立された原子力発電環境整備機構の高レベル廃棄物処分にむけた取組み、これまでの経緯、また海外の動きなどについて報告を聞き、今後の調査審議の進め方が話し合われた。

調査会では、当面の課題として、一昨年11月に核燃料サイクル開発機構がまとめた地層処分処分研究開発第2次とりまとめなどを参考にしながら、安全確保の観点から原子力発電環境整備機構が進める概要調査地区の選定段階における環境要件の考え方について検討を進める方針。中期的には欧米などで近年行われてきている廃棄物の回収可能性、管理・モニタリング等の検討状況を調査し、わが国でも今後安全規制上に重要と考えられる事項の検討と整理を進める考えだ。

さらに検討にあたり広く専門家の意見を聞くため公開でワークショップを開催する。


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