[原子力産業新聞] 2001年11月29日 第2114号 <2面>

[原産、青森県] 放射光利用拡大にむけ研究会

放射光施設計画が進展

日本原子力産業会議は20日、青森県および六ヶ所村と共催で、北海道札幌市のサッポログランドホテルにおいて、「むつ小川原地域における放射光施設整備研究会」を開催した。この研究会は、青森県のむつ小川原地域へ放射光施設を建設・整備することに向けて、放射光に関する知識の啓蒙啓発と、放射光施設の利用者となる研究者の「掘り起こし」および組織化・ネットワーク化を図ることを目的に開かれたもので、当日の会場には約100名の参加者がつめかけ、熱心に聞き入っていた。

会の冒頭、挨拶に立った「むつ小川原地域における放射光施設整備検討委員会」の平尾泰男委員長 (放射線医学総合研究所) は、放射光施設建設計画が今現在どうなりつつあるかの概要として、(1) 加速・蓄積リングの最大加速エネルギーは2GeV 程度 (2) ビームラインは、当初はタンパク質結晶構造解析用、医学利用、理工学研究用の3本−などといったスペックを目標として、具体的な詰めを行っている段階であることを明らかにするとともに、「詳細は、年度末開催予定の青森での研究会で明らかに出来ると思う」と述べた。

続いて、高輝度光科学研究センターの上坪宏道副会長が、「放射光が拓く21世紀の科学技術」と題する特別講演を実施。科学技術研究におけるX線の重要性や、放射光の必要性などについての説明を行うとともに、SPring-8 を利用しての研究成果を、多彩な具体例を挙げて解説し、最後に、技術の発見から実用化までの時間が短くなっている近年は、「効率よい研究が大切だ」として、研究の効率化には放射光が極めて有効であることを強調した。

引き続き行われた講演は、次の通り。

▽「放射光を利用した三次元マイクロ構造の製作と応用」杉山進立命館大学理工学部教授マイクロシステム技術研究センター▽「放射光構造生物学と生命科学」神谷信夫理化学研究所播磨研究所研究技術開発室長▽「ある先端医療施設の放射光利用計画」盛英三国立循環器病センター研究所心臓生理部長


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