[原子力産業新聞] 2001年11月29日 第2114号 <3面>

[アイルランド] 英の最新MOX工場でのフル操業保留求める

国際海洋法裁判所 (ITLOS) は13日、英国政府が英原子燃料会社 (BNFL) のセラフィールドMOX燃料製造工場 (SMP) に発給した全面運転認可について、これを保留するための暫定措置が取られるようアイルランド政府が9日付けで提訴していたことを明らかにした。

公聴会など長期にわたった手続きを経てSMPにフル操業の認可が下りたのは10月3日のこと。アイリッシュ海を挟んで英国と向き合うアイルランドは SMP で放射性物質が搬入/搬出される際、同海峡に潜在的にもたらされる環境保全上のリスクに懸念を抱き、10月25日にはこの問題を国連海洋法に基づく仲裁裁判委員会で審議してほしいと申請していた。

しかし、同委員会の設置には時間がかかるため、それまでの間、SMP の全面操業を暫定的に差し止められるよう次のような措置を求めているもの。すなわち、(1) 英国は10月3日付けのフル操業認可を直ちに保留する (2) 英国はいかなる放射性廃棄物や放射性物質も統治権の存在する海洋上を移動させないと直ちに保障する (3) 英国はこの問題を悪化させたり複雑化させるような行動を取らないと保障する (4) 英国は同法で許されている利点の行使によってアイルランドの権利を害さないと保障する −など。

ITLOS は12月3日にこれらの措置に関する決定を下すと見られている。


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