[原子力産業新聞] 2001年11月29日 第2114号 <4面> |
[原研] 革新技術テーマに報告会安全性研究の成果も日本原子力研究所は21日、革新的原子力技術と安全性研究の成果報告会を都内で開いた。 原子力科学技術の多様な展開やエネルギー安定供給の選択肢をひろげるなどの意味で期待される革新炉の研究開発や、安全性の向上にむけた研究開発の状況が報告された。会場では、関連研究のパネル展示も行われ、多くの参加者が熱心に説明員の話しに聞き入る姿もみられた。 報告会のなかで、革新炉技術については落合政昭・エネルギーシステム研究部長が、既存の軽水炉技術を発展させてウラン資源の有効利用や廃棄物発生量の低減に一層の特長を発揮する低減速スペクトル炉の開発について、燃料の再処理などのサイクル分野を含めて技術的な特性や特長を紹介し、産業界や大学などとの連携によって2020年代の実用化をめざすとの計画を示した。 また馬場治・高温工学試験研究炉開発部長は、8割以上の熱利用率を期待できる高温ガス炉の研究開発について報告した。原研が定常的な運転にむけて出力上昇試験を実施中の高温工学試験研究炉の開発を中心に、燃料や材料の研究状況や水素製造システムの開発や今後の展開を示し、核熱利用技術の基盤確立をめざすとした。 一方、安全性研究の面から阿部清治・原子炉安全工学部長は、シビアアクシデント研究として燃料からの放射性物質放出実験 (VEGA 実験) の成果や、放射性廃棄物の処分に関する安全性研究をとりあげ、原子力の安全確保と向上に貢献するとともに安心感をもって原子力と共存できる社会の形成に貢献していく考えを示した。 |