[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <1面>

[原産] 政府などにITER誘致を要望

産業界の意見まとめ

日本原子力産業会議は国際熱核融合実験炉 (ITER) を国内に誘致することを求める要望書をとりまとめ、5日に尾身幸次科学技術政策担当大臣に手渡すとともに、国会議員や政府関係者などに提出した。

要望書は、核融合エネルギーが「人類の将来の発展をエネルギーの資源・環境上の制約から解放する未来の究極的なエネルギー源」として期待されている点をあげ、わが国が核融合の研究開発成果に優れた国際貢献を果たしてきたとしたうえで、「産業界も実験装置の製作等で研究開発の発展に貢献し、ITER工学設計活動の研究開発において、わが国産業界の技術力が高く評価された」と強調。

要望書はまた、「ITERは現在、研究が進められている各方式のうち熱核融合研究開発の大きなマイルストーンである自己点火条件を実証し、実用化の見通しをつけるものであり、開発戦略上きわめて重要」とし、産業技術の点からも、機器等の開発・製造・組み立ての過程を通して、核融合炉実用化へのノウハウを構築することができ、科学技術のブレークスルーの契機となるものとして期待されるとしている。ITER がわが国に建設されることになれば、主としてサイト国が経験できる建屋関係、ITER本体の組み立てや運転・保守等において、より多くのノウハウ構築の機会が得られるとするとともに、ITER計画懇談会報告書の指摘を踏まえ、「わが国がサイト国になった場合には、民間のみならず各方面への効果も含めて、わが国全体にとって格段により多くのメリットが得られる」として、ITERの日本誘致を強く要望している。


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