[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <2面>

[原環機構] 高レベル処分啓発活動を展開

情報公開の必要性など議論

原子力発電環境整備機構 (原環機構) は1日、岩手日報社と共催で、「エネルギー・フォーラム21 in 岩手 エネルギー、将来の世代のために〜電気のごみについて考えてみませんか〜」を開催した。「高レベル放射性廃棄物の処分について、電気を使っているみんなで考える場」として、原環機構が全国で開くフォーラムの第1回目。会場となった盛岡市勤労福祉会館には、大勢の聴衆がつめかけ、原子力発電所の存在しない岩手県においても、高レベル放射性廃棄物処分は非常に関心の高い問題であることを示していた。

高レベル放射性廃棄物処分施設の建設に関しては現在の所、来年度以降に応募した地区およびその周辺地区について文献調査等により概要調査地区を選定した後、2008〜12年頃までにボーリング調査等により、精密調査地区を選定する計画。その後地下施設による調査などにより、2023〜27年頃までに、最終処分施設建設地を選定し、施設の建設・国による安全審査等を経て、2033〜37年頃に、処分の開始が予定されている。

冒頭、挨拶に立った岩手日報社の大志田専務取締役は、フォーラムが全国に先駆けて盛岡市で開催されることから、「トップバッターとして日本の将来のために、是非有意義なものを発信したい」との抱負を披露。またその後には、ジャーナリストの吉村秀實氏と、語り部・キャスターの平野啓子氏が「文明とエネルギー」と題する基調対談を行い、ドイツのごみ対策を例に、「ごみは対策・政策により減らせるもの」ということを、参加者に訴えた。

引き続き、岩手日報杜の中原祥皓氏をコーディネーターに、小島圭二氏 (地空間研究所代表)、平野啓子氏 (前出)、広野カツ子氏 (消費生活アドバイザー)、二ッ川章二氏 (日本アイソトープ協会滝沢研究所管理部長)、吉村秀實氏 (前出)、鈴木康夫氏 (原環機構専務理事) をパネリストに迎え、「高レベル放射性廃棄物と地層処分」および、「概要調査地区等の選定手法」をテーマにパネルディスカッションが行われた。

討論では (1) 高レベル放射性廃棄物の放射線レベルは、どのくらいの期間で自然放射線レベルに下がるのか (2) なぜ地上ではなく地中に処分するのか (3) 最終処分の安全性 −などについての意見が出されたほか、処分候補地の公募に関連して、「最終処分の『影』の部分を、対応策とともにしっかりと示さないと、世論の指示は受けられず、公募に応じる自治体は出てこない (吉村氏)」のように、情報公開の必要性に議論が集中。また最後にコーディネータの中原氏が、「情報公開の徹底がないと、国民の理解は得られない」とした上で、原子力の是非論とは違う、真剣に考えるべき問題であるという思いを新たにしたとの感想を述べ、セッションを締め括った。


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