[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <2面>

[原子力安全委員会] MOX加工施設の安全指針めぐり検討進む

耐震、事故時条件など専門部会

原子力安全委員会の原子力安全基準専門部会が11月30日、同部会に設けられたMOX加工施設指針検討分科会が検討している指針案をもとに耐震や事故時の条件、閉じ込めの機能といった重要点について議論を行った。

分科会の指針案は、耐震安全性について、再処理施設や原子炉施設に適用されているA、B、Cという、設備等の安全機能の重要度分類に基づく設計要求を行うなどの基本線を示した。MOX加工施設の場合は、再処理施設には存在しない「大量のMOX粉末を非密封で取り扱う設備・機器を収納するグローブボックス等」の設備があるため、一般公衆への影響や効果の観点からAクラスに分類するなどの方針が示された。また施設としての潜在的な危険性が原子炉施設や再処理施設と比較して小さいことから、もっとも重要度の高いAsクラスは設けないなどの考え方が示された。このAsクラスを設けないという点をめぐっては各委員の間で議論が行われ、Asクラスを設けないことの前提となっている潜在的な危険性の考え方などについて引き続き分科会で検討を詰めることとした。

また、MOX加工施設の立地条件の適否を判断するうえで重要な指針となる事故時の条件に関しては、最大想定事故をどう考えるかについて議論が行われた。分科会の指針案では、最大想定事故として、技術的には発生を想定しえないような仮想的な臨界事故を想定したうえで、想定規模や判断基準を固めていく方向となっている。MOX加工施設では乾式での作業であるため、臨界事故の潜在的危険性は低いというのが専門家の大方の見方だが、安全審査指針作成上、最大想定事故評価を盛り込む方向性が示されたもの。各委員の間では、その想定の必要性の有無などをめぐり意見が交わされた。

このほか、プルトニウム粉末を非密封で取り扱う施設であることから、閉じ込めの機能が通常時、非常時問わず重要なポイントになる。このため分科会からは、再処理指針の規定を反映して再処理施設と同等の閉じ込め機能を要求する方向で検討していることが報告された。

この日行われた同部会での議論を踏まえ、14日に開催予定のMOX加工施設指針検討分科会でさらに指針の詳細を固める検討が進められる。


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