[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <2面>

[資源エネ庁] 「サイクル政策の必要性」で説明資料作成

プルサーマル実施も強調

経済産業省・資源エネルギー庁は11月28日、プルサーマルを含む核燃料サイクルについての、国民に分かりやすい説明の基本となる資料「核燃料サイクルのエネルギー政策上の必要性」を作成した。

核燃料サイクルについて、広く国民の理解を得るために「分かりやすい資料」の作成が必須であることから、エネ庁が設けた核燃料サイクル研究会 (座長・田中靖政学習院大法学部教授) において、関係府省、総合資源エネルギー調査会・原子力部会および、原子力委員会からのコメントも反映させて作成されたこの資料は、広聴・広報活動や教育等あらゆる機会に活用することを目的としている。

具体的に内容を見ると、「我々が将来にわたり十分にエネルギーを利用していけるよう、日頃から備える努力が必要であることを忘れてはいけない」という基本姿勢の下、化石エネルギーの有限性、地球温暖化の防止、世界のエネルギー消費は今後もアジア地域を中心に増加傾向であることといった現状に加え、わが国のエネルギー自給率は非常に低いことから、「独自の『資源』と言うべき私達の知恵と技術を最大限に活用」して、「出来る限りの手段を講じて、将来のエネルギーの安定した供給に努力していく必要」があると訴えている。

また、省エネルギーの必要性を強調するとともに、太陽光や風力といった新エネルギーの開発と導入に全力を上げている現状を紹介。さらには、化石燃料に変わる供給安定性と経済性を兼ね備えた将来の基幹エネルギーを開発しなくてはならない現状から、メタンハイドレートや高速増殖炉の技術開発など、様々な研究開発を進めているものの、「これらの開発に成功し、経済的に見合うものとなって普及するまでに要する時間を、現時点で見極めることは難しい」ことから、「当面は現実的な対応策によって、この不確実性を滅らすよう努力」することが大切であるとしている。

そしてこれら状況を踏まえて、「同じ量のウラン資源からより多くのエネルギーを生み出しつつ、処分することになる高レベル放射性廃棄物の量を大幅に少なくする」ことの出来るプルサーマルの実現を、急がれるものと位置づけ、またプルサーマルを実施しない場合、使用済み燃料を貯蔵している施設が満杯になり、「原子力発電による電力の供給にも影響を与えかねない」と、その必要性を強調。「プルサーマルを実施することは、将来の不確実性を減らすために現実的な対応策と考える」として、プルサーマルの早期実施を訴えている。


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