[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <3面>

[ハンガリー] パクシュ原発の寿命延長へ

「最高50年運転可能」

ハンガリーのパクシュ原子力発電所が11月26日に伝えたところによると、同国の原子力当局はこのほどパクシュ発電所の運転寿命を20年間延長するための詳細な計画を策定したと発表した。

計画書によると、昨年、同発電所の4基 (各46万kW、VVER) の運転寿命延長について技術的、経済的な審査が行われた。技術審査では、これらの原子炉で最高50年間、安全な操業を続ける上で技術的な制約となるものは見受けられなかったとの結果が出ており、今回、運転認可を延長する判断が下されたとしている。

今年10月からは準備プロジェクトも始動しており、包括的な運転寿命管理プログラムの策定や、寿命延長に必要な認可書類を2007年までに準備する作業が始められた。

一方、経済性の評価でもパクシュ発電所はハンガリーのほかの電源と比較して最も発電コストが安いという結果が出たと同計画書は指摘。2003年初頭に電力市場の一部が予定通り自由化された場合でも、同発電所は十分競争力を維持できると見込んでいる。実際、同計画書はパクシュ発電所による電力の平均販売価格は2000年に5.63フォリント (約1.98セント) /kW 時だったが、今年は6.32フォリント (2.21セント) まで上昇すると予想。それでもハンガリーのその他の電源による電力販売価格の約半額であるほか、平均消費者価格の4分の1程度に留まったことを伝えている。

計画書ではまた、パクシュ発電所の寿命延長に要する投資コストを新規のコンバインド・サイクル・ガス発電所で比較し、寿命の延長と閉鎖にともなう長期的な経済性を標準現金収支割り引き法による査定技術を使って評価した。その結果、実際の電力価格がキロワット時あたり5.85フォリント (2.04セント) 以上に留まれば、寿命の延長は経済的に有利であることが証明されたとしている。

コンバインド・サイクル・ガス発電所が優位になるのは、延長されたパクシュ発電所の運転期間中を通じて電力販売価格が4.52フォリント (1.58セント) /kW 時以下だった場合のみに限られると指摘している。


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