[原子力産業新聞] 2001年12月6日 第2115号 <3面>

[英国] 政府、原子力債務で管理機関

BNFLなど対象に

英国政府のP.ヒューイット貿易産業相は11月28日、過去の原子力プログラムから生じた公営企業の原子力債務を再構築するため、政府の債務管理機関 (LMA) を設立することになったと発表した。

LMA が管理責任を引き継ぐのは主に英原子燃料会社 (BNFL) と英国原子力公社 (UKAEA) の負債および資産だが、その多くはこうした企業の設立以前に軍事利用などに伴って発生したもの。貿易産業相によれば、LMA にはクリーン・アップ・プログラムが来世紀に渡って存続できるよう戦略的な方向性と影響力を持たせる方針だ。「英国における原子力クリーン・アップでは専門知識の範囲とレベルを拡大する必要があり、公共および民間部門が提供できる最良のものを活用しなくてはならない」と強調するとともに、安全保障や環境保全に関する最も高い基準のクリアに焦点を当てて、原子力サイトの管理を含めた債務管理の機会を重ねることによって、このような専門的知見を合理的に活用していきたいとしている。

BNFL は同日、政府のこの発表を歓迎するとの声明を発表。同社のH.コラム会長は、「当社の長期戦略は政府およびその他の利害関係者と協議した上で策定されており、原子力施設を安全かつ効率的に運営するという重要な業務から資産・債務の所有を分離することによって当社は今後、顧客へのサービス提供に一層注力することが可能になる」とコメントした。

また、同社のN.アスキュー社長は BNFL の長期戦略目標は原子力事業者と政府にサービスを提供することだと言明。同社独自の科学・技術、エンジニアリング上の知見は、最重要目標として過去から引き継いでいた原子力債務のプロジェクト処理・管理に益々傾注していくための梃入れになるはずだと強調した。

BNFL の債務と現行のデコミおよびクリーン・アップ事業 (セラフィールドとマグノックス炉を含む) は、プログラムの管理自体は今後も同社が責任を担う。しかし、それらの管理責任が LMA に移管されることで、サイトにおいては然るべきインセンティブを与えられた上での管理責任が敷かれることになる。こうした措置により、17億ポンドの正味資産赤字を抱える BNFL の今後の財務上のポジションが明確になり、結果的にバランス・シートが再構築されると説明している。


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