[原子力産業新聞] 2001年12月13日 第2116号 <1面>

[中部電力] 浜岡1号機、延性破壊が原因と判断

配管破断調査で保安院の見解

中部電力の浜岡原子力発電所1号機 (BWR、54万kW) で11月7日に高圧注水系手動起動試験を実施した際に、余熱除去系配管が破断したトラブルについて、経済産業省原子力安全・保安院は6日、(1) 配管の破断部周辺が、熱疲労等により劣化していたとは考え難い (2) 材料が健全な状態であった配管の当該部に、過大な力が作用して塑性変形を伴い、延性破壊に至ったものと認められる −などとするトラブルに関する同院の見解を発表した。

配管切断による詳細調査の実施にあたり原子力安全・保安院は、亀裂開始点の特定および亀裂の進展状況の把握が出来るよう、テストピースの採取場所を定めることおよび、慎重な破面観察を行うとともに破裂部位内面についても十分な観察を行うことを、中部電力に指示。加えて配管の破面・断面の調査が今回の事故の原因究明の重要な要素であることを考慮して、独立の調査を日本原子力研究所に依頼していた。

今回の発表は、中部電力および原研双方から報告書の提出があったことを受け、原子力安全・保安院が事故原因に関する同院としての見解を示したもので、中部電力および原研による調査結果の概要と同院の見解、加えて同院の今後の取り組みが示されている。

具体的には、外観観察、肉圧測定、破面観察、断面観察 (金相観察)、硬さ測定、付着物調査などの結果、中部電力、原研ともに「当該配管の破断部位に過大な力が働いたのが主要因」と結論。これを受けた原子力安全・保安院も (1) 両者の調査結果がほぼ同様の内容であり、事実関係の調査結果としては確度の高いものと考えられる (2) 疲労破面が観察されなかったことから、熱疲労等により破断部周辺が劣化していたことは考え難い (3) 材料欠陥や異常な腐食・脆化が観察されなかったことから、当該配管の材料は健全な状態であったと考えられる (4) 破断部の肉厚が減少していること、ほぼ全ての破面で延性破壊の特徴であるディンプル模様が観察されたことから、過大な力が配管の当該部に作用し塑性変形を伴って延性破壊に至ったものと認められる −との見解を示した。

それとともに、今後の同院の取り組みとして、(1) 11月27日に発見された第5番目の破断部位の破片については、現在、同様に中部電力と日本原子力研究所で調査されているところで、結果がとりまとまり次第、公表する予定であり、破面・断面の調査については必要に応じ追加的な調査を行っていくこととする (2) これらの配管破断部の破面・断面の調査結果については、その他の関連調査と合わせて、原因究明の総合的な検討に活用していくこととする −を挙げている。


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