[原子力産業新聞] 2001年12月13日 第2116号 <1面>

[総合資源エネ調] 原子炉安全小委最終報告書、熱出力一定運転にOK

保安院、省令改正など具体的対応示す

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会 (委員長・班目春樹東大院教授) は7日の会合で、「わが国の原子力発電所については、現在設置されている設備や機器を変更することなく定格熱出力一定運転を安全に実施することが可能」とする最終報告書を策定した。

「定格熱出力一定運転」とは、原子炉熱出力を原子炉設置許可で認められた最大値である「定格熱出力」に保ったままで運転を行う方法で、定格電気出力一定運転と比較して、原子力発電所の年間設備利用率が全国平均で約2%程度向上するメリットがあり、実際に海外では一般的に行われている。

小委の決定を受け、原子力安全・保安院では7日、電気事業者が定格熱出力一定運転を実施する場合における同院の対応方針を定めた。

同院では、現行法令上の電気出力についての規制の考え方として、原子炉等規制法上では、原子炉の熱出力を変更しない限り電気出力の変更を行っても原子炉安全上の問題はないことから、同法上の手続きを必要とせず、また電気事業法上においても、電気工作物の工事を伴わない場合や、変更の工事を伴う場合であっても5%未満の出力増加の場合は、電気工作物の設置者として技術基準適合性を自ら確認出来る限りにおいて、自主的に定格熱出力一定運転が出来ることを明示。

一方、定格出力一定運転を行う際、原子力安全・保安院として、(1) 電事法に基づく技術基準 (省令) の改正を実施 (2) 電気事業者が実施する設備の健全性評価結果についての、同院の確認 (3) 電気事業者に対し、保安規定の適正化を図るよう求める (4) 発電設備の性能確認 −といった措置をとるとともに、電気事業者に対しては、経年変化や高経年化に対する対応や運転マニュアルの変更、運転員等への教育訓練の実施、社内監査の実施などといった自主保安活動の適切な実施を求める方針だ。


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