[原子力産業新聞] 2001年12月13日 第2116号 <2面>

[インタビュー] W.マーチン氏に聞く

「規制緩和、複合的考慮を」

米国外交問題評議会「エネルギーセキュリティグループ (ESG)」の議長で、元エネルギー省副長官のW.マーチン氏が先日来日した。ESG の日本国内対応組織「日本エネルギーセキュリティ委員会 (ESGJ)」の事務局をつとめる原産会議を訪問した機会に、米国のエネルギー政策に強い影響力を持つ同氏に今後の展望などを聞いた。

−米国のエネルギー政策見直しについて。

ブッシュ政権は、世界におけるエネルギー需給の今後の厳しさを意識し、特にアジアのエネルギー市場での競争激化をも考慮したため、米国でエネルギー政策を見直す必要性が高まり、ブッシュ大統領は原子力を支持するに至っている。そこで、ユッカマウンテンの問題の重要性が浮かび上がるわけだが、これは9月11日のテロ事件以後、特にそうであり、長期的に安全な貯蔵施設が求められている。

−エネルギー市場の規制緩和について。

共和党政権にとり、市場の自由化は「イデオロギー」となっている。しかし、カリフォルニア電力危機やエンロン社破綻の教訓を学ぶことが必要だ。規制緩和は、国家安全保障、環境や経済の要因を複合的に考慮したものでなければならない。私は最近、この問題を調査し、分析を進めているところだ。

−京都議定書問題は。

私は、ブッシュ氏の選挙運動でエネルギー政策の担当をした。大統領は、技術を駆使することと適切なアクションを重視している。排出権取引、技術革新、原子力を解決策としている。その点、京都議定書はバランスに欠ける。

−日米のエネルギー安全保障面での今後の協力は。

日米経済は世界経済の40%を占める。両国の協力は世界のエネルギー情勢に影響を及ぼす。協力の分野としては、例えば安全性向上のためのインフラ整備、ハイブリッドカー等が考えられる。ESG と ESGJ の活動は、こうした協力に寄与するものだ。また、3月に開催が検討されている両グループの合同会合では、エネルギー安全保障、環境保全、経済的競争性を扱うことになるだろう。


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